人類の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 06:31 UTC 版)
詳細は「保全生態学」および「地球温暖化」を参照 生物圏において人類は重要な役割を演じており、 膨大な世界人口は地球上の生態系の多くを左右している。人類の影響は、完新世絶滅(英語版)として知られる、現在進行中の広範囲におよぶ他種の大量絶滅を引き起こしている(現代は地質時代区分では完新世に含まれる)。1950年代からの人類の影響による大規模な種の絶滅は、生物危機(英語版)と呼ばれており、2007年時点で種全体の10パーセントが失われたと推定されている。現在のペースでは、今後の100年間で種全体の約30パーセントが絶滅の危機に瀕することになる。完新世絶滅を引き起こしている要因としては、生息地破壊(英語版)、外来種の拡散、狩猟、そして気候変動が挙げられる。現代において、人類の活動は地球表面に重大な影響をもたらしている。地表面積の3分の1以上が人類によって改造されており、地球上の基礎生産の20パーセントを人類が使用している。産業革命開始以来、大気中の二酸化炭素濃度は30パーセント近く上昇した。 長期化した生物危機がもたらす影響は、最低でも500万年にわたって持続すると予測されている。その結果として、生物多様性の減少や生物群系の均一化、変化によく対応する日和見種(害虫・雑草など)の拡散がもたらされる可能性がある。一方で、新種の出現も予想される。特に、人類の影響が大きい生態系において繁栄するタクソン(分類群)は急速に多様化して、多くの新種を生み出す可能性がある。微生物は、栄養豊富なニッチ(生態的地位)の増加により恩恵を受ける可能性が高い。現存する大型脊椎動物の新種が出現する可能性は低く、一方で食物連鎖の短縮が起きる可能性は高い。 地球規模の影響をもたらし得る既知のリスクについては、多数のシナリオが存在している(地球滅亡のリスク(英語版)を参照)。人類が自ら引き起こすリスクには、気候変動、ナノテクノロジーの乱用、核兵器による大量殺戮、プログラムされた超知能による戦争、遺伝子工学が生み出す伝染病、物理学的実験が引き起こす災害などが含まれる。同様に、いくつかの自然現象も人類の存続を危険に晒す可能性がある。強い病毒性をもつ疾病、隕石衝突、暴走温室効果、資源の枯渇などがそこに含まれる。これらのシナリオが実際に起こる確率を推定することは、ほとんど不可能と言えるほどに困難である。 人類が絶滅すると仮定した場合、絶滅後には人類によるさまざまな建造物も朽ちて崩壊していく。最大級の建造物でも約1000年でその数が半減すると推定される。もっとも長く残存すると考えられる建造物は、露天掘りの採鉱場、大規模な埋め立て処分場、主要な幹線道路、大規模な運河、アースダムなどである。ギザのピラミッド群、ラシュモア山の彫刻などいくつかの石造りの巨大モニュメントは、100万年後でも何らかの形で残存する可能性がある。
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