人工妊娠中絶についての見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 16:51 UTC 版)
「ドナルド・トランプ」の記事における「人工妊娠中絶についての見解」の解説
自らを人工妊娠中絶反対派と位置づけており、原則として妊娠後期(米国では一般的に満20週以降)では中絶(abortion)を認めるべきではないとする。認めるべき場合としては、強姦被害による場合と、近親姦による場合、母体の健康に問題がある場合を挙げる。 2016年3月、トークショーの司会者から、中絶手術を禁止した場合に違法な手術は罰するべきかと問われて、「there has to be some form of punishment (for the woman)((女性に対して)何らかの罰を設けるべきだろう)」と答えた。 司会者:中絶に対して原則的には罰を与えるべきだと思いますか?イエスかノーかで答えてください。 トランプ:何らかの罰を設けるべきだろう。 司会者:女性に対してですか? トランプ:はい。 この発言に関して世界中のメディアが ドナルド・トランプ氏が「妊娠中絶を受けた女性は刑罰の対象にすべきだ」と発言 中絶手術を受けた女性は処罰されるべきだと発言した と報じ、中絶反対派からも激しい非難を受けた。 日本のマスコミも トランプ氏は、人工妊娠中絶を行った女性は罰せられるべきだと発言 妊娠中絶手術を受けた女性は「処罰されるべきだ」と発言 と批判した。 トランプはこの件については同日中に再説明し「もし議会が中絶を違法化し、あるいはいずれかの州が連邦法の下で禁止し、連邦裁判所がこの法律(中絶を禁じる法律)を合憲とする場合には、医師あるいはどんな人物であれ、この違法行為を妊婦に行った者(堕胎施術者)は、法的責任を問われる。この時、胎内の命を奪われた妊婦は被害者である。」として「私の立場はロナルド・レーガンと同じ立場で、例外を認めるプロライフだ。」とした。 中絶を巡る問題に関しては、この件についての多数の報道があった後、有利とされていたウィスコンシン州で敗北したことで、フレームアップされたこの「発言」が、選挙戦に致命的なダメージを与えたという分析も出ている。 ただトランプは、刑罰化を積極的に望む姿勢を示したわけではなかった。激しく非難された発言は、後期中絶の違法化を巡るやりとりの中での返答だが、トランプは司会者から「違法に堕胎するものが現れれば罰するのか?」と質問されて、そのたびに「これは非常に難しい問題なんだ」「他の候補者よりも緩やかな考えだ」「広い例外を認める禁止派(プロライフ)だ」と濁している。また、この返答を受けた司会者が「ではどのような刑を課すのか」などと矢継ぎ早に畳み掛けると、その際にもトランプは「分からない」と3度繰り返し「カトリックと同様の見地から対応するつもり」「これについては今後、決定する」と続けており、強固な考えを持っていないことも示唆している。 なお、妊娠後期の胎児についての中絶の禁止自体は、共和党の候補者に共通する考えであり、米国外では日本などが採用している。しかし、日本の刑法で第212条から216条に規定されている堕胎罪の場合は、犯罪の主体が女性に限定されないため、批判されたトランプの当初の主張とは異なる。 トランプは1999年には、中絶の問題は妊婦と担当医に委ねるべきと述べていた。 トランプ:私は完全にプロチョイスだ。中絶のことは嫌悪している。嫌いだ。胎児の殺害を意味する全てを嫌っている。私は人々がこの話題で言い争うのを聞くだけで、身のすくむ思いがする。しかし、そうであっても選ぶ自由を認めるべきなのだと思う。それに……あるいはニューヨークの人々の物の捉え方には、他の地域の人々とは少し変わっている部分がある。そして知ってのように、私はニューヨーク生まれの人間だ。この町で大きくなって、働いて、ニューヨークシティで形作られた。なんにせよ、プロチョイスを強く支持している。だが堕胎も嫌悪している。 司会者:ではトランプ大統領は堕胎を禁止しますか? トランプ:いいえ、自分はどの点でもプロチョイスだ。しかし、嫌いなんだ。 自分は全面的に「中絶の自由」を支持する。「中絶の自由」を嫌悪しているし、「中絶の自由」など口にするのも嫌だ。そして自分が「中絶の自由」の支持者だと言うことを恥ずかしいとも感じる。だが支持する他ないように思われるから「中絶の自由」の支持者だ。 その後「例外を認めるプロライフ」としたことについて、1999年の見解から立場を変えたことを批判しているマスコミもある。
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