京城神社とは? わかりやすく解説

京城神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/13 13:26 UTC 版)

京城神社
所在地 朝鮮京畿道京城府倭城台町
主祭神 天照大神
朝鮮国魂大神
大己貴命
少彦名命
社格 国幣小社
創建 1898年明治31年)
例祭 10月18日
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京城神社(けいじょうじんじゃ)は、朝鮮京畿道京城府(現・大韓民国ソウル特別市)の南山北麓にあった神社である。1898年創建。祭神天照大神朝鮮国魂大神大己貴命少彦名命社格国幣小社。京城府民の氏神とされた[1]:213。元・南山大神宮。

南山にはその西麓に朝鮮神宮が1925年に[1]:211、京城神社の南西に京城護国神社が1943年に創建された[2]

歴史

漢城(のちの京城、現在のソウル)の南山の北側山麓一帯は 、明治10年代より日本人が居住する地域となりはじめていた [1]:211

1892年明治25年)ごろ、居留日本人有志によって天照大神の遙拝所が設置された[1]:213[3]:8

日清戦争後の1897年(明治30年)、在漢城日本領事と朝鮮政府との間で南山北麓の一部に関する永代借地契約が締結されると、居留地会ではこれを「倭城台公園」と名付けて整備[1]:213、ここに伊勢神宮内宮正殿を模した神殿を建て、1898年(明治31年)11月3日、天照大神を祭神として鎮座式を行い、「南山大神宮」が創立された[1]:213[3]:9

1913年大正2年)に「京城神社」に改称[1]1915年大正4年)10月1日、神社寺院規則(大正4年朝鮮総督府令第82号)の施行に伴い、改めて神社創立が出願され、1916年(大正5年)8月22日、京城神社の創立が許可された[4]。1925年に朝鮮神宮が創建されるまでは、李王家や朝鮮総督府高官の公式参拝を受けていた[1]:218

1926年(大正15年)3月、氏子総代会の決議により境内の拡張と社殿の造営が企図され、鎮座地候補が2つ出たが、伊東忠太が「京城市民の氏神であるから民衆的であるのが望ましい」として市街地に近いほうをよしとする助言をした[1]:2181929年昭和4年)9月25日、社殿の完成とともに国土開発の始祖とされる国魂大神、大己貴命・少彦名命が増祀された[3]:9

1936年(昭和11年)8月1日、国幣小社に列格され[5]、これに合わせて大規模な社殿改築、境内拡張を検討[3]:35、1936年6月には奉賛会が設立されたが、時局のために資材の入手が困難となり着工には至らなかった[6]:86

日本の第二次世界大戦敗戦に伴い、1945年(昭和20年)11月17日に廃止された[7]。京城神社の跡地は、一時期「檀君聖祖廟」になった[8][9]。1954年に崇義女子高等学校 (ko:숭의여자고등학교が転入したが2003年に転出し[10]、2019年現在では崇義女子大学朝鮮語版となっている[11]

摂社

周囲に摂社として天満宮八幡宮稲荷社乃木神社があった[6]:84

乃木神社

乃木神社

1934年(昭和9年)に、京城神社の境内に乃木希典および妻の乃木静子を祀る乃木神社(朝鮮乃木神社[12])が建設された[13]

第二次世界大戦終戦後、跡地は孤児院になり[14]、建物も一部転用されたが[14]、1979年に火災で焼失した[15]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 青井, 哲人朝鮮神宮の鎮座地選定 : 京城における日本人居住地の形成および初期市区改正との関連から」『日本建築学会計画系論文集』第64巻第521号、日本建築学会、東京、1999年7月、213-218頁、CRID 1390001204782363904doi:10.3130/aija.64.211_3ISSN 1881-8161 
  2. ^ 護國神社」『朝鮮年鑑 昭和二十年度』(昭和20年)京城日報社、京城、1944年10月20日、210頁。doi:10.11501/1708339NCID BN12278269国立国会図書館書誌ID: 000001211657https://dl.ndl.go.jp/pid/1708339/1/120?keyword=%E8%AD%B7%E5%9B%BD%E7%A5%9E%E7%A4%BE 
  3. ^ a b c d 内閣 (日本)京城神社(京畿道京城府倭城台町鎮座)及竜頭山神社(慶尚南道釜山府弁天町鎮座)ヲ国幣小社ニ列格ノ件 右謹テ裁可ヲ仰ク』(レポート)1936年。国立公文書館 請求番号 類02001100 件名番号003, アジア歴史資料センター レファレンスコード A01200731900https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?KEYWORD=&LANG=default&BID=F0000000000000007166&ID=M0000000000001764789&TYPE=&NO= 
    • 京城神社及竜頭山神社列格参考資料
      • 8/81 神社明細帳(京城神社): 由緒
      • 30/81 写真集(京城神社)
      • 33/81 京城神社奉賛会設立趣意并希望 (33/81 - 35/81)
  4. ^ 神社創立許可」『朝鮮総督府官報』第1141号、1916年5月25日、364頁。 
  5. ^ 朝鮮総督府告示第四百三十四號」『朝鮮総督府官報 号外』1936年8月1日、6頁。 
  6. ^ a b 青井, 哲人ソウル・南山の神域化 ―植民都市と神社境内―」『明治聖徳記念学会紀要 復刊』第43号、2006年11月3日、72-91頁、 CRID 1521417753492684288ISSN 09160655NCID AN10536831OCLC 835629160オリジナルの2025年9月9日時点におけるアーカイブ。 リンク元書誌
  7. ^ 内務省告示第二百六十四号」『官報』第5660号、1945年11月22日、169頁、doi:10.11501/2962164NCID AN00290906国立国会図書館書誌ID: 000000078538 
  8. ^ 田中, 正四「(昭和二十年)十月十一日」『痩骨先生紙屑帖』金剛社、東京、1361年8月1日、112頁。doi:10.11501/2934951NCID BA44001208国立国会図書館書誌ID: 000001022695https://dl.ndl.go.jp/pid/2934951/1/59 (要登録)
  9. ^ 一書に「檀君聖廟」:森田, 芳夫『秘録大東亜戦史』 朝鮮篇、富士書苑、東京、1953年8月25日、59頁。doi:10.11501/2991791NCID BN0476718X国立国会図書館書誌ID: 000000869778https://dl.ndl.go.jp/pid/2991791/1/32?keyword=%E6%AA%80%E5%90%9B%E8%81%96%E5%BB%9F (要登録)
  10. ^ 이칭. “숭의여자고등학교(崇義女子高等學校)” (朝鮮語). 韓国民族文化大百科事典. 2024年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月10日閲覧。
  11. ^ チェ・ユンテ (2019年8月29日). “ソウル市、日帝侵略の歴史を記憶する南山“国恥の道”造成”. ハンギョレ新聞. 2023年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月10日閲覧。
  12. ^ 国幣小社 京城神社絵葉書(京城神社社務所)”. 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ. 京都大学. 2025年9月10日閲覧。 “国幣小社 京城神社境内 朝鮮乃木神社”
  13. ^ 京畿道 編「乃木神社」『京畿地方の名勝史蹟』朝鮮地方行政学会、京城、1937年7月15日、39頁。doi:10.11501/1905826NCID BA40560263国立国会図書館書誌ID: 000001389920https://dl.ndl.go.jp/pid/1905826/1/46 
  14. ^ a b 韓国に旧神社故地を訪ねて(昭和41・4・16 第九四八号)- 乃木神社」『神社新報選集 昭和46年版』神社新報社、東京、1971年6月30日、126頁。doi:10.11501/12266436NCID BN04338263国立国会図書館書誌ID: 000001243639https://dl.ndl.go.jp/pid/12266436/1/71?keyword=%E4%BA%AC%E5%9F%8E%E7%A5%9E%E7%A4%BE (要登録)
  15. ^ 정용부 (2020年1月29日). “[다크 헤리티지를 찾아서 서울미래유산에 남겨진 일제 신사의 유구]” (朝鮮語). 파이낸셜뉴스. 2025年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月10日閲覧。

参考文献

  • 「京城神社由緒記」、市秋弘(京城神社宮司)、1932
  • 「京城神社の恒例大祭」、市秋弘、1937
  • 「京城神社奉仕事務摘要」、市秋弘、1943

関連項目

外部リンク





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