乗用車のリアエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 23:06 UTC 版)
「リアエンジン」の記事における「乗用車のリアエンジン」の解説
自動車においては、黎明期から19世紀の原始的な自動車では前輪を操舵輪とし、後輪を駆動輪とする役割分担において自然な配置として、リアエンジンはしばしば見られるものであった。しかし、回転軸を90度曲げることのできる傘歯車、駆動トルクに耐えうるプロペラシャフトジョイントなどが揃うと、排気量の拡大による性能向上を目指して大きく重くなる一方のエンジンを前に置き、そこから後輪を駆動する配置(いわゆるFR)が、エンジンの搭載性、軸重の均衡化、操縦安定性など有利な点が多かったことから多用されるようになり、リアエンジンはいったん廃れた。 リアエンジンの再興は1930年代以降である。ドライブトレインを後部に集中させて最小限にまとめることができ、軽量化と室内容積の拡大を図れるパッケージングとして、主に小型乗用車(大衆車)から採用が始まり、日本では軽自動車にも多用された。またスポーツカーの一部にも採用例がある。大型乗用車や高級車向けのレイアウトとしてはほとんど普及しなかった。 乗用車用としては操縦安定性やラゲッジスペース確保などの面で課題も多く、1960年代以降、小型車ではフロントエンジン・前輪駆動(いわゆるFF)の配置に取って代わられた。21世紀初頭現在では、一部のスポーツカーや特殊な商用車に主として用いられるのみである。 後輪駆動の自動車では、エンジンの自重を駆動輪に掛けることができるためトラクション(駆動力)の点では有利であるが、重心やヨーイング軸から離れたリアオーバーハングに重量物のエンジンが配置されることは、運動性でミッドシップエンジン車やフロントエンジン車に、安定性ではフロントエンジン車に劣ること、また、排気管長やマフラー容量が十分に取れないため、出力の面でも不利となることなど、大きなデメリットがある。特に運動性では、サスペンションジオメトリやばね定数など、他の多くの要素との組み合わせにもよるが、横転を起こす危険がある車があった。 なお、前輪駆動のリアエンジン車は、構造上全くメリットが存在しないため、フォークリフトや一部の履帯車両などを除き、世界的に見ても採用例がない。
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