主な構造と機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 07:56 UTC 版)
「フェンダー・ジャズマスター」の記事における「主な構造と機能」の解説
ジャズマスターに搭載されているピックアップは、ストラトキャスターなどに搭載されている通常のシングルコイル・ピックアップよりサイズが大きく、見た目はギブソンのP-90に近い。音色は、通常のシングルコイル・ピックアップより太い。トレモロユニットも、ストラトキャスターのシンクロナイズド・トレモロとは異なるフローティング・トレモロを搭載。この機構は、後にジャズマスターの上位機種として登場するジャガーにも搭載された。 ボディ内部には真鍮のバスタブ型プレートが設置されており、ボディ全体をシールドし、ノイズを遮断する工夫が施されている。ピックガードはゴールド・アノダイズドが採用され、電装部品全体をシールドしている(後に樹脂製ピックガードにアルミテープを貼った物に変更された)。 製作作業工程の簡略化はストラトキャスターからさらに進化し、ピックアップはクッションを下にして4点ねじ止めされている。そのほかはジャックもすべてまとめ、ピックガードに直接取り付けられている(ストラトキャスターはジャックだけは別工程)。そのため、アース線を除けば丸ごとポン付けが可能になった。 ピックアップ・セレクターはネック・ピックアップ、ミックス(並列)、ブリッジ・ピックアップを選択できる。ミックスサウンドを出すことができるのはテレキャスターのブレンダー調整を除けば、ジャズマスターが初である。先行発売のデュオソニックもミックスは可能だが、直列接続である。 プリセット・トーン/ボリューム回路が組み込まれ、これをオンにすると通常のセレクターが機能しなくなり、フロント・ピックアップのみが作動する。ボディ上部にある2つのノブ(ボリュームとトーン)で音色と音量を調節でき、演奏中に任意のタイミングで設定した音色を呼び出せるようになっている。 ビブラート・ユニットには新開発したシンクロナイズド・フローティング・トレモロという機構が組み込まれた。ストラトキャスターではブリッジが直接動き、その原理で弦のテンションを変えていたが、フローティング・トレモロではテールピースが動くという、ビグスビーと同じ仕組みが採用された。ブリッジは2本のすり鉢状のアンカーに、先の尖ったイモネジを支柱に載せてあるだけである。弦を張っていない状態ではグラグラと動く。これがブリッジが固定されていない(フローティング)という由来である。アーミングするとテールピースと一緒に固定されていないブリッジも若干動き、チューニングの狂いを軽減させ、またストラトキャスターよりも滑らかなビブラートをかけることができるようになっている。 サドルはねじを切断したような螺旋状のスパイラル・サドルが採用されている。このため、弦間を細かく調整できるほか、ビブラート時のチューニングの安定化を図っている。 ビブラート・ユニットはオン・オフボタンがついており、オフにすると、内部でせり出した爪がテールピースを固定するようになっている。しかし、この機構を使うには内部スプリングの張力を調整して平行になるように設定しなくては、使用できない。その調整のためには発売当時、主流だった太い弦が必要であるため、ライト・ゲージではまったく使用できない。
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