世界を売った男とは? わかりやすく解説

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世界を売った男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/30 08:00 UTC 版)

世界を売った男
デヴィッド・ボウイスタジオ・アルバム
リリース
録音 1970年4月18日 - 5月1日
Trident Studios, Soho, London, UK
5月12日 - 5月22日
Advision Studios, Soho, London, UK
ジャンル ロック
時間
レーベル マーキュリー
フィリップス
プロデュース トニー・ヴィスコンティ
専門評論家によるレビュー
  • All Music Guide link
チャート最高順位
  • 26位(全英アルバムチャート
  • 105位(Billboard 200
  • デヴィッド・ボウイ アルバム 年表
    スペイス・オディティ
    (1969年)
    世界を売った男
    (1971年)
    ハンキー・ドリー
    (1971年)
    テンプレートを表示

    世界を売った男』(せかいをうったおとこ、原題:The Man Who Sold the World)は、デヴィッド・ボウイの第3作のアルバム

    背景

    前作発表の後にボウイはライヴ専用のバンドの結成を試み、いくつかのセッションで親交を結んだ人物らを中心に、新たに以後グラム・ロック時代のボウイの女房役となるミック・ロンソン(g)を加えた「ハイプ」と名乗るライヴ・バンドを結成した。彼らは1970年2月にカムデン・タウンのラウンド・ハウスで最初のギグを行い始動している[1]

    しばらくして「ハイプ」からジョン・ケンブリッジ(ds)が脱退し、ミック・ロンソンの元グループからミック・ウッドマンジー(ds)を同バンドに迎えて、『スペイス・オディティ』の収録曲でボウイのお気に入りであった「フリー・フェスティバルの思い出」をシングル用に再録音して、6月12日に発表した[1]

    4月18日にボウイは新譜の制作に取り掛かり、「ハイプ」とシンセサイザー・プレイヤーのラルフ・メイスを迎えて本作の録音が開始された。プロデューサーでベース担当のトニー・ヴィスコンティは当時T・レックスの作品も手掛けており、作品全体として演奏の端々には新興を燻るグラムロックの影響が窺え、また収録曲の「ブラック・カントリー・ロック」はしばしばマーク・ボランのボウイ的解釈と評される[1]

    本作完成後にヴィスコンティはT・レックス(マーク・ボラン)からより強力な連帯を求められ、またT・レックスが契約を結んだフライ・レコードと自らのプロダクション契約を結んだことなどからボウイの下から離れ、「ハイプ」には新たに『スペイス・オディティ』のセッションに参加していたハービー・フラワーズ(b)が加わり、またフラワーズがそのままプロデュースも務める形でシングル「ホリー・ホリー」が1971年1月17日に発表された[1]

    表題曲は、1982年にミッジ・ユーロが(なお、このバージョンは2015年に発売されたステルスゲームの『メタルギアソリッドV ファントムペイン』で用いられている)、1993年にアメリカのロックバンドであるニルヴァーナMTVアンプラグドにおいてカバーした[2]

    英音楽誌NMEは、本作から「世界を売った男」(17位)、「ブラック・カントリー・ロック」(34位)の2曲を「NMEが選ぶデヴィッド・ボウイの究極の名曲1〜40位」に選んでいる[3]

    リリース

    1970年11月4日マーキュリー・レコードから米国盤が先行発売され、1971年4月フィリップス・レコードから英国盤がジャケットを変更した形で発売された。詳細はアートワークを参照。

    1972年RCAレコードが本作の権利を買い取り、こちらもジャケットを異にした形で再発された。1990年にはEMI(米国ではRYKO)よりCD化され再発され、その際にボーナストラックとして未発表テイクが4曲追加されている。

    リリース50周年を迎える2020年には、制作当初に予定されていたタイトルとアートワークを使用した記念盤『メトロボリスト』(原題:Metrobolist)としてリリースされた[4]

    イギリスでのリリース50周年を迎える2021年には、本アルバムのリリースされた時期に録音された、未発表音源21曲を含む34曲が収録された作品『ウィドゥス・オブ・ア・サークル~円軌道の幅』(原題:The Width Of A Circle)がリリースされた[5]

    アートワーク

    そもそもこのアルバムは1970年にアメリカで先行リリースされ、その際ジャケットにはアメリカのコミック『ヒューストン』のキャラクター、ヒューストン・カウボーイのイラストが描かれた物が使用された。その後、イギリスでも1971年にリリースされるが、前述のアメリカ盤のジャケットは不都合が生じたため使用されず、イギリスのフォトグラファー・キーフの撮影による、ソファーに横たわるドレス姿のボウイの写真が使用される事となった[1]

    アメリカ盤ジャケットにおける不都合とは、描かれたイラストの建物や吹き出しに書かれたキャラクターのセリフ等が、当時精神病院に入院していたボウイの兄を表しており、それを懸念したボウイが差し替えを申し出たが間に合わず、アメリカ盤のみそのままリリースされてしまったのだという。また、キーフ撮影のイギリス盤ジャケットも初盤のみで早々に廃盤となり、一時期は高額で取引されていた。その後、1972年にRCAより再リリースされるが、この際もジャケットは変更され、バレリーナの様なポーズを取っているボウイの姿の写真が使用されている。他にも、ドイツでは特殊ジャケットでリリースされ、こちらも高額で取引されているなど、ボウイのアルバムの中でも最もジャケットの種類が多く、コレクター泣かせの作品となっている[1]

    収録曲

    A面
    全作詞・作曲: デヴィッド・ボウイ
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.「円軌道の幅」(The Width of a Circle)デヴィッド・ボウイデヴィッド・ボウイ
    2.「オール・ザ・マッドメン」(All the Madmen)デヴィッド・ボウイデヴィッド・ボウイ
    3.「ブラック・カントリー・ロック」(Black Country Rock)デヴィッド・ボウイデヴィッド・ボウイ
    4.「アフター・オール」(After All)デヴィッド・ボウイデヴィッド・ボウイ
    B面
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    5.「ランニング・ガン・ブルース」(Running Gun Blues)  
    6.「セイヴィア・マシン (救世の機械)」(Saviour Machine)  
    7.「シー・シュック・ミー・コールド」(She Shook Me Cold)  
    8.「世界を売った男」(The Man Who Sold The World)  
    9.「スーパーメン」(The Supermen)  
    合計時間:
    ボーナストラック(1990年盤)
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    10.「ライトニング・フライトニング」(Lightning Frightning (Previously Unreleased))  
    11.「ホリー・ホリー」(Holy Holy (Studio Version, 1971))  
    12.「月世界の白昼夢」(Moonage Daydream (Arnold Corns Version))  
    13.「君の意志のままに」(Hang Onto Yourself (Arnold Corns Version))  

    スタッフ・クレジット

    参加ミュージシャン

    スタッフ

    リリース履歴

    No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
    1 1970年11月4日 アメリカ合衆国 マーキュリー・レコード LP SR-61325 105位 「ヒューストン・カウボーイ」ジャケット
    2 1970年 ドイツ マーキュリー・レコード LP 6338 041D -
    3 1970年 イギリス フィリップス・レコード LP
    8トラック
    CT
    6338 041
    P8S 2103
    PK 2103
    26位
    4 1972年 イギリス RCAレコード LP LSP-4816 -
    5 1972年 ギリシャ RCAレコード LP RCLP 20245 -
    6 1972年 アメリカ合衆国 RCAレコード LP AYL1-4654 -
    7 1972年 スペイン RCAレコード LP 38-452 -
    8 1972年 フランス RCAレコード LP 461 006 -
    9 1972年 アメリカ合衆国 RCAビクター オープンリール EPPA-4816 -
    10 1973年 スペイン RCAレコード LP
    CT
    NL-14654
    NK-14654
    -
    11 1973年 ユーゴスラビア RCAレコード LP
    CT
    LSRCA-70520
    CARCA-164
    -
    12 1973年 ベネズエラ RCAビクター LP LPVS-1381 -
    13 1976年 日本 RCAレコード LP RVP-6125 -
    14 1976年 アメリカ合衆国 RCAレコード LP AFL1-4816 -
    15 1978年 日本 RCAレコード LP PG-110 - 廉価版
    16 1982年 ヨーロッパ RCAインターナショナル LP
    CT
    NL 84654
    NK 84654
    -
    17 1983年 日本 RCAレコード LP RPL-2123 -
    18 1983年4月 イギリス RCAインターナショナル LP INTS 5237 -
    19 1983年 カナダ RCAレコード LP AYL1-4654 -
    20 1984年 ドイツ RCAレコード CD PD 84654 -
    21 1984年 アメリカ合衆国 RCAレコード CD PCD1-4816 -
    22 1990年 アメリカ合衆国 ライコディスク CD
    CT
    RCD 10132
    RACS 0132-2
    - ボーナストラック4曲収録
    23 1990年 ヨーロッパ EMI CD
    CT
    CDP 79 1837 2
    CDEMC 3573
    264-8 91837 4
    - ボーナストラック4曲収録
    24 1990年 日本 東芝EMI CD TOCP-6203 - ボーナストラック4曲収録
    25 1990年 スペイン EMI CT 276-7918374 -
    26 1990年 ギリシャ EMI LP 064-7918371 -
    27 1990年 イギリス EMI LP EMC 3573 -
    28 1990年 ドイツ EMI LP 064-79 1837 1 -
    29 1990年 イタリア EMI LP 64 7918371 -
    30 1990年 アメリカ合衆国 ライコディスク LP RALP 0132-2 - ボーナストラック4曲収録
    31 1990年 スペイン EMI LP 076 791837 1 -
    32 1990年 ブラジル EMI LP 066 791837 1 -
    33 1997年 アメリカ合衆国 ライコディスク CD RCD 80132 - ボーナストラック4曲収録
    34 1999年9月6日 ヨーロッパ EMI CD 521 9010 - 24ビット・デジタルリマスタリング
    35 1999年9月28日 アメリカ合衆国 ヴァージン・レコード CD 7243 521901 0 2 - 24ビット・デジタルリマスタリング
    36 1999年9月29日 日本 東芝EMI CD TOCP/65306 - 24ビット・デジタルリマスタリング
    37 2001年 イギリス Simply Vinyl LP SVLP 264 -
    38 2004年 ドイツ マーキュリー・レコード LP 6338041D -
    39 2007年1月10日 日本 東芝EMI CD TOCP-70142 - 紙ジャケット仕様
    40 2009年10月28日 日本 EMIミュージック・ジャパン SHM-CD TOCP-95042 -
    41 2012年6月6日 日本 EMIミュージック・ジャパン CD TOCP-53529 -
    42 2013年 アルゼンチン マーキュリー・レコード LP MANODIDOS86 -

    脚注




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