下級生に対する暴力行為の発覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:21 UTC 版)
「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「下級生に対する暴力行為の発覚」の解説
2013年9月4日には、大学柔道界の名門として知られる天理大学柔道部で、男子部員による暴力行為が発覚した。大学側によれば暴行は3度にわたって行われた。1度目は今年5月中旬に4年生の男子部員6名が練習後に寮に1年生部員28名を集めて、その内の4名が「水を飲むのは休憩時間のみ」「練習中、気合が足りない」「集中していない」などと叱責して、約10名の顔を平手打ちした。この際に部員1名の鼓膜が破れた。なお、この現場には柔道部主将であり、8月のリオデジャネイロ世界選手権73 kg級で金メダルを獲得した大野将平も立ち会っていたものの、大野は直接暴力は振るっていないという。大野は「(暴行を)止められず、ふがいない。申し訳ない。」と弁明した。6月中旬の練習後には、先月暴行を振るった4名のうちの1名が、鼓膜を負傷した1年生1名に対して「練習態度がなっていない」と木刀で尻を数回叩いた。さらに7月初旬には、この1年生部員が体調不良を訴えて休みを申し出た際に平手打ちした。7月10日にこの1年生部員が、柔道部監督の土佐三郎に暴行を受けたことを打ち明けるとともに、退部を申し出たことで事件が明るみに出た。17日にこの件の報告を受けた柔道部部長の藤猪省太は、18日と24日に土佐や4年生の部員らとともにこの1年生の自宅に謝罪へ出向いた。この時は大野も同行して「申し訳なかった。これからは自分が4年生をきちんと指導する」と述べたという。一方、大学当局は読売新聞からの問い合わせで23日にこの件を把握すると、24日には藤猪からも報告を受けることになった。8月には暴行を振るった4年生4名から事情を聞いたところ、「暴力はいけないと思ったが、感情を止められなかった」「指導のつもりでたたいた」と暴行の事実を認めた。この4名は謹慎処分を受け、土佐監督も8月20日まで自宅謹慎の身となった。柔道部自体も7月24日から8月16日まで活動を控えることになった。 9月4日に記者会見した天理大学副学長の山田常則は今回の件を謝罪するとともに、全学的にこの問題に取り組んでいく所存であることを表明した。また、大野を世界選手権に出場させたことに関しては、現場に居合わせたものの直接暴力を振るったわけではないので黙認したと述べた。なお、大野が務めている柔道部主将の交代を検討することになるともいう。同じく会見した部長の藤猪は、この件を把握しながら全柔連に報告せず、8月21日に全柔連の新理事に就任した点について問われると、「部内と学校の中の話で終わると思った。甘かった。」、「(暴力問題の対処は)大学に預けていたので、(学外に)問題が起きていることを言えなかった状況ということです」と述べて、この件を隠蔽する意図は持ち合わせていなかったことを主張した。これに対して被害を受けた1年生部員の関係者は、「これほどひどい暴力があった部の部長が、全柔連の理事になるなんて許せない」と憤った。なお、藤猪は3日に全柔連に対して理事を、4日には大学に対して柔道部部長を辞任する意向を伝えた。 他方、全柔連会長の宗岡は「全柔連は『暴力の根絶プロジェクト』を実行しているところで、今回の件については事実関係を確認した上で、適切に対応したい」「柔道界が暴力集団と思われないようにスピード感をもってやらないといけない」、専務理事の近石は「体育会の悪弊。特に柔道はそういうことを良しとするムードを引きずっている。」とそれぞれコメントを発した。全日本学生柔道連盟は今月末に理事会を開いて、大学からの報告を検討したうえで天理大学柔道部の大会参加などに関する取り扱いを決めることになった。
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