上椎葉発電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:26 UTC 版)
ダムに付設する上椎葉発電所は認可出力90,000キロワットのダム式発電所である。発電所はダムより下流約5キロメートルの耳川沿いに建設され、北九州工業地帯への送電を行っている。発電所は無人であり、日向市にある日向電力所から遠隔操作が行われている。この上椎葉発電所を含め耳川水系では多くの水力発電開発が行われ、本流に6か所、支流に2か所の発電所・ダムが建設されている。 皮切りとなったのは1929年(昭和4年)に九州水電が建設した西郷ダム(20.0メートル)である。その後1932年(昭和7年)に山須原(やますばる)ダム(29.4メートル)が完成。塚原ダムが1938年、岩屋戸ダム(57.5メートル)が1942年(昭和17年)に日本発送電によって建設された。戦後には上椎葉ダム完成の翌年1956年(昭和31年)には大内原(おおうちばる)ダム(25.5メートル)が完成し、1983年(昭和58年)の西郷発電所増設の完成を以って耳川の水力発電所建設は終了した。上椎葉ダムを除き耳川本流に建設されたダムは型式が全て重力式コンクリートダムである。なお、塚原ダムは2004年(平成16年)、国の登録有形文化財(建造物)に登録されている。支流の柳原川には九州唯一の中空重力式コンクリートダムである諸塚ダム(59.0メートル)が1961年(昭和36年)に、七ッ山川には日本で最も低いアーチダムである宮の元ダム(18.5メートル)が同年に完成している。これらの水力発電所の中で、上椎葉発電所は最大かつ中心的な発電所として重要な位置を占めている。 こうした電源開発によって耳川流域の7発電所合計の認可出力は337,000キロワットとなり、九州有数の電源地帯に成長した。だが台風によって度々発電施設への被害を受けており、対策に頭を悩ませている。特に2005年(平成17年)9月の台風14号では上椎葉発電所がダム放流による浸水で変圧器がショートによる火災を起こして故障。塚原・西郷発電所も浸水し、山須原ダムでは大量の流木がダムに押し寄せ水門の開閉操作に支障を来たした。これにより337,000キロワットの発電能力が117,000キロワットに減衰する被害となり、復旧作業が行われた。
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