上り線橋梁を利用した単線運行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 03:32 UTC 版)
「富士川橋梁 (東海道本線)」の記事における「上り線橋梁を利用した単線運行」の解説
この流失事故を受けて、東海道本線は上下列車とも運転を中止し、富士駅と富士川駅で折り返し運転となった。流失の1時間ほど前に通過した列車もあったほどで、遅れていた大垣行き下り普通電車は当時富士駅に停車していたが、信号に異常があるとして発車を抑止されているところであった。川の増水がなお続いていたため、残存した上り線橋梁の運転可否の判断に時間を要し、8月4日の午前中に上り線橋梁に試運転電車を走らせたうえで、富士 - 富士川間を通票閉塞式に取り扱い変更して、8月4日13時から上り線橋梁のみを使用した単線運転として運転を再開した。富士川橋梁を通る列車の運転士に通票閉塞の取扱経験者はほとんどおらず、急遽取り扱い教育が行われた。通票(タブレット)は第3種三角で、富士駅・富士川駅に全列車が停車して通票の授受を行った。これにより、4日は普通列車8往復、貨物列車3本、特急列車の回送1本の運転を行い、翌日からは運転計画を定めて特急や急行のほぼ全列車と普通列車をラッシュ時1時間に2往復程度、終日では1時間に1往復程度、貨物列車を28本程度の運転となったが、通票閉塞の取扱や橋梁上の50 km/h徐行制限もあり、列車の遅れが終日周辺地域に波及した。6日以降の運転率は平時の50パーセント程度の約120本となった。 しかしこの程度の運転率では東海道本線の需要を到底捌くことはできなかった。5日から各方面の工事を全力で進め、11日に富士川橋梁の富士駅側に下り線から上り線への渡り線を挿入して自動閉塞信号化を完成させ、12日からは富士駅から富士川左岸付近まで複線で運転し、そこから橋を渡って富士川駅までのみを単線として、自動閉塞式を施行しておおむね80パーセント程度の運転率を実施し、遅延も大きく縮小することができた。このような対策を行っていたもののなお本来の輸送を確保できておらず、複線での早急な運転再開が望まれた。
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