ワクチンによるポリオ感染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 06:13 UTC 版)
「ポリオワクチン」の記事における「ワクチンによるポリオ感染」の解説
経口生ポリオワクチンについて、神経学的感染と麻痺性ポリオに対して、ワクチンの普及が達成されると、経口ポリオワクチンの副反応である、ワクチン株により発症する急性弛緩性麻痺(ワクチン関連麻痺:vaccine associated paralytic poliomyelitis:VAAP)と、ワクチンを受けた人から周囲の人に感染し、感染を受けた人が発症する急性弛緩性麻痺(ワクチン接触例:vaccine contact case:VCC)が問題となった。 臨床では、急性弛緩性麻痺が発病しても、それが生ワクチンによるポリオウイルスが原因となったのか、野生株のポリオウイルスが原因になったのかは判別ができない。ワクチン投与による麻痺性急性灰白髄炎の発病や、生ワクチンのポリオウイルスが原因となる発病が報告されたが、これは、経口生ポリオワクチンが普及した一部の地域に起きている事で、経口生ポリオワクチン自体が原因によるものだと思われる。 野生株ポリオによる病気の減少と、経口生ポリオワクチンによる発病のため、安全性の観点からもポリオワクチン由来株不活化ワクチンの方が優れている。不活化ポリオワクチンを接種した時、野生株ポリオウイルスに曝される小さなリスクは残るものの、不活化ワクチンは、経口生ポリオワクチンに比べて胃腸免疫性の獲得が少ないが、神経系組織からのウイルスの感染を防ぐ要因は高く、1950年代中期のポリオワクチンの広がりは、多くの工業国の間で急性灰白髄炎の減少となった。2000年のアメリカ、2004年のイギリスの経口生ポリオワクチンの使用が中止されたものの、世界中の多くの国では使用され続けていた。 2013年のインドでは、経口生ポリオワクチンの副反応による急性弛緩性麻痺が4件起こっている。副反応による急性弛緩性麻痺は、地域により異なるが750,000あたり1件のワクチン接種者が発病した事例もある。また、副反応は子供より大人に多く発病が見られ、子供でも免疫不全に侵されている子供の中では急性弛緩性麻痺にかかるケースは7000件以上ある、特にB型肝炎症状(無ガンマグロブリン血症と低グロブリン血症)と共に顕れ、抗体による保護が低下する。 VAAPとVCCは、高品質の予防接種を複数回受ける事で、免疫性の獲得を促して、発生を阻止することが可能であり、世界保健機関は予防接種による恩恵は、仮にワクチンが原因となりポリオが発病するリスクと比較しても、予防接種を受けないよりも予防接種を受けた方が良いと考えている。
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