ワクチンとしての利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 01:54 UTC 版)
「ワクシニアウイルス」の記事における「ワクチンとしての利用」の解説
ワクシニアウイルスによる感染は極めて軽度であり、一般的には健康な個体では症状は出ないが、軽度の発疹と発熱が起こる可能性がある。ワクシニアウイルスに対する免疫応答が、致死的な天然痘感染からその人物を保護する。そのため、ワクシニアウイルスは天然痘に対する生ワクチンとして現在でも利用されている。予防したいウイルスの弱毒化株を用いるワクチンとは異なり、ワクシニアウイルスワクチンは天然痘ウイルスを含まないため、天然痘を引き起こすことはない。しかしながら、時として特定の合併症またはワクチンの悪影響が出現することがある。このような事象が起こる可能性は、免疫抑制状態の人物では有意に上昇する。予防接種によって、約100万人に1人程度、致命的な反応が生じる。 現在ワクチンは、天然痘ウイルスに感染するリスクの高い医療従事者・研究者とアメリカ軍の軍人に対してのみ投与されている。天然痘を用いたバイオテロの脅威のため、将来再びワクチンが広く投与されるようになる可能性がある。そのため、バイオテロの発生時により安全・迅速に配備可能な、新たな天然痘ワクチンの開発が科学者によって行われている。 2007年9月1日にアメリカ食品医薬品局は、必要時に迅速に製造可能な、天然痘に対する新たなワクチンACAM2000(英語版)を認可した。サノフィパスツールによって製造が行われ、アメリカ疾病予防管理センターは1億9250万投与量分の備蓄を行った。また、ワクシニアウイルスの改変株 Modified vaccinia Ankara に基づいた新たな天然痘ワクチンImvanexが2013年に欧州医薬品庁によって承認された。 ワクシニアウイルスは、宿主内で外来遺伝子を発現させて免疫応答を引き起こす、組換えウイルスワクチンとしても利用されている。他のポックスウイルスも組換え生ワクチンとして利用されている。
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