LaTeX
LaTeXとは、文書整形機能を持つ組版ソフトウェア「TeX」に、コンピュータ科学者のレスリー・ランポート(L. Lamport)が独自のマクロパッケージを組み込んだ組版処理システムの名称である。
LaTeXはTeXをベースとした高品質で自由度の高い組版処理能力と、マクロパッケージに由来する扱いやすさを特徴とする。LPPL(LaTeX Project Public License)と呼ばれる独自のライセンスに基づき、フリーソフトウェアとして配布されている。LaTeXはTeXの処理系としては最もユーザーの多い製品の一つとされる。
参照リンク
LaTeX – A document preparation system - (英語)
ソフトウェア: | ポートレートモード ICM カラーマネジメントシステム LaTeX PageMaker PDF PostScript |
LaTeX
(ラテフ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/05 14:45 UTC 版)
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作者 | レスリー・ランポート (2.09 まで) |
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開発元 | The LaTeX Project (2ε から) |
初版 | 1984年 |
最新版 |
LaTeX2ε
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最新評価版 |
LaTeX3
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リポジトリ | |
プログラミング 言語 |
TeXプリミティブ、expl3 |
対応OS | クロスプラットフォーム |
サポート状況 | 開発中 |
種別 | 組版処理、TeX マクロパッケージ |
ライセンス | LPPL |
公式サイト | www |
LaTeX(ラテフ、ラテックなど。詳細は後述)とは、レスリー・ランポートによって開発されたテキストベースの組版処理システムである。電子組版ソフトウェアTeXにマクロパッケージを組み込むことによって構築されており、単体のTeXに比べて、より手軽に組版を行うことができるようになっている。LaTeXと表記できない場合は「LaTeX」と表記する。
TeX の各派生エンジンに対しても LaTeX と同等なフォーマットが提供されていることがほとんどであり、多くの場合において LaTeX という名称はそれらも含めた総称として用いられている。
専門分野にもよるが、学術機関においては標準的な論文執筆ツールとして扱われている。

読み方
LaTeXの生みの親レスリー・ランポートは、LaTeXの発音について自著の中で、
「 | LaTeXを使っていくうえでの難問の1つに、どう発音するかという問題がある。しかし、これについては、私は何もいわないことにする。名前というのは規則や命令によって決められるものではなく、使われているうちに自然に決まってくるものだからである。TeXはふつう“テック”と発音されているので、論理的に考えれば、LaTeXは“ラーテック”や“ラテック”、“レイテック”などが妥当といえる。しかし、言葉というものはつねに論理的であるとは限らないので、“レイテックス”と発音してもあながち間違いとはいえないだろう。 | 」 |
—レスリー・ランポート(『文書処理システム LaTeX 2ε』[1]より) |
と述べている。日本語では「ラテフ」や「ラテック」などと呼ばれる[2]。
成立の背景と開発者
LaTeX以前に、“TeX”という名の数式の処理に優れる組版ソフトウェアがあり、そのTeXを使ってもっと簡単に論文やレポートを作成したいという要望があった。LaTeXはその要望に応えて開発されたものであり、レスリー・ランポートがTeXの上にマクロパッケージを組み込むことで構築したものである。さらにLaTeXでは、TeXの煩雑な部分の修正も行っている(たとえば、累乗根や分数の設定方法など)。またTeXやそれを基にしたLaTeXは主に米国での表記法を基に作られたもので、日本の初等教育・中等教育での数式の書き方とは一部異なる[注 1][注 2]。例を挙げれば、日本の初等教育・中等教育では等号附き不等号として、「≦」と「≧」が、近似記号として「≒」が、相似記号として「∽」が用いられる。一方でTeXやLaTeXの標準では、等号附き不等号として「
拡張機能
LaTeXには多くのマクロパッケージが存在する。一例を挙げる。
- BibTeX - 参考文献リストの作成に用いる。
- SLiTeX - プレゼンテーション用スライドの作成に用いる[8]。
- AmS-LaTeX - 数学的な文書の記述に用いる[9][10]。
- XϒMTeX - 化学構造式の描画に用いる[11][12]。
脚注
注釈
- ^ 日本の初等教育・中等教育での数式表記は JIS Z 8201 を基準にしている。2006年1月20日に確認が行われている JIS Z 8201-1981 (JIS Z 8201:1981) と国際標準である ISO 31-11:1992 とでは、表記が一部異なっている。
- ^ 日本の初等教育・中等教育での数式用に記号の形を調整するマクロとして、初等数学プリント作成マクロ emath がある。
- ^ 他に、日本語の組版のために開発されたものとして NTT JTeX があり、これにも対応する NTT JLaTeX があるが、いずれも現在は更新等されていない。
- ^ pLaTeX がリリースされた当初はまだ LaTeX2ε は世に出ていなかったが、1995年に pLaTeX2ε がリリースされた。なお、「pLaTeX2ε」は株式会社アスキーの登録商標であり、「ピーラテックツーイー」と読むのが正しいとされている。なお、LuaLaTeX は最初から LaTeX2ε に同等なものとして開発されている。
- ^ ソースコードを DVI などの文書ファイル形式に変換すること。
- ^ Microsoft Word でしか開くことができなかった旧型式のdocファイルなどとは異なり、処理系に依存しないとされるファイル形式。なお、新形式のdocx (Office Open XML Document) は処理系に依存せず開くことができる。
- ^ 処理系に依存しない標準規格。
- ^ 他のソースコードの記述を自動的に読み込む仕組み。
- ^ 例えば日本数学会や電子情報通信学会。
出典
- ^ レスリー・ランポート 1999, p. 6.
- ^ 奥村 & 黒木 2013, p. 2, 1.3 LaTeXって何?.
- ^ “LaTeX project: The LaTeX project public license”. 2020年6月11日閲覧。
- ^ 奥村 & 黒木 2013, p. 2.
- ^ 奥村 & 黒木 2013, p. 4.
- ^ “TeX で作られた本 — TeX Wiki”. 2020年6月11日閲覧。
- ^ “ScienceSoft — LaTeX”. 2020年6月11日閲覧。
- ^ CTAN: Package slides
- ^ AMS-LaTeX — American Mathematical Society
- ^ CTAN: Package amslatex
- ^ XyMTeX 化学構造式描画システム
- ^ CTAN: Package xymtex
参考文献
- 奥村晴彦、黒木裕介『LaTeX2ε 美文書作成入門』(改訂第6版)技術評論社、2013年。ISBN 978-4-7741-6045-0 。
- Lamport, Leslie『文書処理システム LaTeX』Edgar Cooke・倉沢良一 監訳、大野俊治・小暮博道・藤浦はる美 訳、アスキー、1990年。 ISBN 978-4-7561-0784-8。
- レスリー・ランポート『文書処理システム LaTeX 2ε』阿瀬はる美 訳、ピアソン、1999年。 ISBN 4-89471-139-7。
関連項目
外部リンク
- TeX Users Group (TUG)
- CTAN: Comprehensive TeX Archive Network
- TeX Wiki TeX・LaTeX に関するWiki
- ラテフのページへのリンク