数式エディタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/27 00:37 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動数式エディタ(すうしきエディタ)は、コンピュータ上で数式を組版して表示するためのソフトである。
概要
数式を含んだ専門的な内容の文章を、印刷用の組版がなされたファイルとして保存したり、Webへのアップロードやプレゼンテーション等に使えるラスター形式で出力したりするためのワープロソフトとして機能する。通常のエディタやワープロソフトで数式を入力することは困難が伴うが、数式エディタを使うと数式を直感的に作成・編集できるので (WYSIWYG)、文章のチェックが簡単かつ詳細にできる。また、組版された状態のファイルとして保存されるので、そのまま印刷に回されるファイルの組版を本人がチェックできるという利点がある。
TeX や MathML などのように、マークアップ言語を介して数式の表示方法を記述する組版ソフトが古くから知られるが、マウスなどを用いて数式を挿入でき、また編集結果を WYSIWIG で逐一チェックできるような、GUI に対応した数式エディタが現在の主流である。LyX を初めとして、GUI に対応した TeX や MathML のフロントエンドが多数公開されている。また、Microsoft Office に付属の数式エディタなど、オフィススイートの一部として既存のワープロソフトと組み合わせて使われるものも多い。高度なものになると、Mathematica のようにシンボリック計算の結果がグラフとして生成されるソフトもあるが、これらは通常数式処理システムと呼ばれ、編集・表示および組版に重きを置いた数式エディタとは区別される。
主な数式エディタ
キーボード入力 | GUI 入力 | TeX 形式のサポート | MathML 形式のサポート | ラスター形式のサポート | 自動レイアウト機能 | 数式処理のサポート | OLEサーバー機能 (Windows) | 備考 | |
Apache OpenOffice Math | Yes | Yes | Yes | No | Yes | No | Yes | Apache OpenOffice に付属の数式エディタ。旧OpenOffice.org Math。 | |
AxMath | Yes | Yes | Yes | No | Yes | Yes | Yes | Yes | インタラクティブなWYSIWYG式エディタ。 |
カルキング | Yes | Yes | export only | Yes | Yes | Yes | Yes | 日本産の数式処理システム。 | |
JS数式作成ツール | Yes | Yes | No | No | No | No | No | Yes | 一太郎 に付属の数式エディタ。バージョン3.0が最新版。 |
KFormula | Yes | Calligra Suite (旧KOffice) に付属の数式エディタ。 | |||||||
LibreOffice Math | Yes | Yes | Yes | No | Yes | No | Yes | OpenOffice.org から派生した LibreOffice に付属の数式エディタ。 | |
LyX | Yes | Yes | Yes | No | No | TeX / LaTeX のフロントエンド。 | |||
Maple | Yes | Yes | export only | export only | Yes | Yes | Yes | 数式処理システム。 | |
MathCast | Yes | No | No | Yes | Yes | Yes | オープンソース。 | ||
Mathematica | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | 最も高度な数値演算とグラフをサポートする数式処理システム。 | |
MathMagic | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | No | Mac OS X と Windows に対応。 | |
MathNote | Yes | Yes | export only | export only | Yes | Yes | No | No | 日本産の数式ワープロソフト。LaTeX変換機能、作図機能あり。カルキングのエディタ機能部分のみを取り出し、強化したもの。 |
MathType | Yes | Yes | Yes | export only | Yes | No | No | Yes | 「Microsoft 数式エディタ」の上位互換製品。試用版もある。 |
Microsoft 数式エディタ | Yes | Yes | No | No | No | No | No | Yes | Microsoft Word に付属の数式エディタ。バージョン3.0が最新版。MathType の機能を限定した OEM 版。2018年1月にOffice製品から機能削除された。 |
Microsoft Office 数式エディタ | Yes | Yes | 部分的に対応 | Yes | Yes | Yes | No | No | Word 2007 以降に付属の高度な数式エディタ。マイクロソフト製。Office 2003以前のファイル形式で保存する場合は使用できない。Office Math Markup Language (OMML) に対応。 |
式楽 (SikiRaku) | Yes | No | Yes | Yes | No | No | 仮想キーボード型の数式エディタ。式をWordに貼り付けて利用する。 |
関連項目
数式エディタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 02:33 UTC 版)
「Microsoft Office ツール」の記事における「数式エディタ」の解説
Design Scienceにより開発された数式エディタでWYSIWYG環境で数式を作成することができ、Microsoft Officeやいくつかの商用アプリケーションに同梱された。 これは、Design ScienceのMathTypeの簡易バージョンであり、有料バージョンへのアップグレードを促すダイアログボックスが表示された 。 スタンドアロンプログラムとして、またはOLE埋め込みオブジェクトとして使用できた。 Word for Windowsバージョン2.0で導入されて以来、その機能セットは大幅に変更されていなかった。 Office 2007以降、数式エディタは数式を作成する既定の方法ではなくなり、古いドキュメントとの互換性のためだけに残されている 。代わりに、再設計された数式ツールが含まれている。これは、OLEオブジェクトではなく、Office プログラムに組み込まれ、リボンから編集できる 。 2018年1月、マイクロソフトは数式エディターの脆弱性に関するセキュリティ更新プログラムを公開し、これにより古い数式エディターは削除されるようになった 。
※この「数式エディタ」の解説は、「Microsoft Office ツール」の解説の一部です。
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