モンスーンの分布とモンスーン気候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 07:58 UTC 版)
「モンスーン」の記事における「モンスーンの分布とモンスーン気候」の解説
海陸分布に加えて、大気大循環に伴う、緯度帯ごとの循環があるため、モンスーンの発生地域(モンスーン気候)は偏った分布をしている。 特に大陸東岸、低緯度の大陸南岸(南半球では北岸)に多くみられ、東アジアからインド洋沿岸部、アフリカ大陸東部、カリブ海、南北アメリカ大陸東岸、オーストラリア東岸などが代表的である。 特にアジアのものは非常に規模が大きく、アジアモンスーンとも呼ばれる。アフリカ東岸からインド洋を経て東アジアまでの約1万kmに渡って、高温多湿な空気の流れが形成される。モンスーン・アジアでは、ある時期を境に気候が急激に変化することから、モンスーンの発生が正確に把握されている。アジアモンスーンの源流は、5月中旬にアフリカ東岸のマダガスカル付近で発現し、湿ったインド洋の空気の供給を受けながら北東に動き、西アジアにも影響を及ぼしながらインドを含めた南アジアに達する。その後もベンガル湾、インドシナ半島、中国南部を経て、日本を含めた東アジアにも及ぶ。梅雨の原因の1つである。 モンスーンが海側から吹くと湿った空気が内陸にもたらされ、強い降雨を伴う雨期となる。逆に大陸側から吹き込むと乾燥した空気がもたらされるため乾期となる(ただし、冬の日本の日本海側のように、大陸由来の乾いた風が短い海域で湿った風に変質することもある)。この働きで、モンスーンは乾季・雨季のある気候を形成するが、全体としては湿潤な気候をもたらすため影響下の地域では熱帯モンスーン気候(Am)や温帯夏雨気候(Cw)、温暖湿潤気候(Cfa)となり、稲作の好適地となる。 東南アジア諸国では、雨季の豊富な雨量と高温が、米の二期作・三期作などを可能にしている。北米ではグレートプレーンズと呼ばれる平原地帯がモンスーンの影響下にはいるため、穀倉地帯となっている。 モンスーン地域では特に夏期に湿った空気の供給を受けるため、亜熱帯地域であっても夏に乾燥せず、豊富な熱帯雨林が形成される。このため逆に、夏に乾燥する地中海性気候は大陸東岸にはほとんどみられない。 インドをはじめとした南アジアや東南アジアでは、それまで専ら東寄りの風が吹いていたにもかかわらず、ある日から急に西寄りの風が吹き始め、数日間で完全に西よりの風に変わってしまう。そのため、これらの地域では、モンスーンを風や天候の劇的な変化と強く結びつけて考えることが多い。このような地域は貿易風の影響が強い低緯度帯に多い。日本のような中緯度帯では、移動性高気圧や低気圧の影響を受けやすいので主風向が変わりやすく、このような劇的な変化は見られない。
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