ミッドウェー島の砲撃命令と反転
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 09:55 UTC 版)
「三隈 (重巡洋艦)」の記事における「ミッドウェー島の砲撃命令と反転」の解説
6月5日午前7時25-30分、第一航空艦隊の主力空母3隻(赤城、加賀、蒼龍)は米第16任務部隊(スプルーアンス少将)と第17任務部隊の空母3隻(ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネット)の艦載機の急襲を受け、炎上した。連合艦隊司令部(山本五十六司令長官)は、第一航空艦隊で唯一健在だった空母飛龍の航空戦力で米機動部隊の空母群を殲滅した後、水上艦艇の夜戦に持ち込めば、攻略作戦の続行は可能と判断した。しかし周辺海域で遊弋する米機動部隊の他に、ミッドウェー島の航空戦力が健在とみられ、飛龍1隻で両面の航空戦に対応するのは困難が予想された。司令部はミッドウェー島飛行場の攻撃を水上戦力で行う方針を決定し、午前10時10分、第二艦隊に対し、攻略部隊の一部戦力でミッドウェー島基地の砲撃と破壊を命じた。 電文を受けた近藤中将は、輸送部隊に同行する支援隊がミッドウェー島に最も近いと考え、基地航空隊が夜間で反撃できない6月6日夜明けまでの砲撃を命じた。しかし第七戦隊からの報告で、支援隊の位置は近藤中将の予想より80海里以上遅れ、第二艦隊の南120海里にいることが判明した。ミッドウェー島周辺の日の出は日本時間の午前2時で、近藤中将は第七戦隊が夜明けまでにミッドウェー島に到着するのは困難と考え、連合艦隊司令部に報告した。 支援隊は第二艦隊との合流を目指して北北東に28ノットで航行中、第二艦隊から砲撃命令を受けた。栗田中将は外洋で高速航行が難しい駆逐艦2隻を分離し、第七戦隊を最大戦速の35ノットで南進させ、朝潮と荒潮を後から追走させた。司令部は近藤中将の報告を受けても砲撃の方針を変更せず、午後5時30分には潜水艦伊168に対し、午後11時までミッドウェー島航空基地を砲撃することを命じた。 飛龍が米艦載機の攻撃で炎上し、日没後も復旧と消火作業が続いたが、午後6時半以降に爆弾や魚雷が誘爆し戦闘復帰は絶望的となった。 連合艦隊司令部は午後9時15分、第七戦隊を含む第二艦隊と南雲機動部隊に主力部隊との合流を命じ、ミッドウェー島の攻略を断念した。第七戦隊は、ミッドウェー島を主砲の射程内に入れるまで2時間程の距離まで近づいたが、命令を受けて反転し、主力部隊との合流をめざして退避行動に移った。
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