マイノリティ界への関心と活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 11:33 UTC 版)
「小林春彦」の記事における「マイノリティ界への関心と活動」の解説
障害者や社会的少数派に対する偏見を減らす目的のイベント「ヒューマンライブラリー(human library)」に2008年から2016年までに全国最多の出演をしている。「外見から見えない困難を抱える当事者」で身体機能と脳機能の中途重複障害者という立場をとることが多い。小林は活動の発起人の一人であるロニー・アイバーグが運営するデンマークのヒューマンライブラリー本部「HUMAN LIBRARY ORG」にも動画でコメントを寄せ、この活動が実際の執筆のきっかけとなっていることや「カンファレンス、企業、教育機関など様々な場所に出演してきて、『運営からも読者からも他の本(何らかのマイノリティ性を抱えた当事者)からも、自分が普段どのように見られており、どう言葉に落とし込めば相互理解に至るのか』といったことを様々な角度から考えさせていただいたと感じている」と述べている。 身体機能と脳機能に重複した障害を抱え大学入試センター試験に5回挑戦したが、文字を読むのにハンディがあり希望した配慮が受けられず受験を断念している。「入試では、論理的に考える力や発想力を問うてほしい。目で字を認識できなければ耳から情報を与えるなど、いろいろな試験の仕方があるべきだ」と訴えた。 2015年時点において発達障害は先天性の脳機能障害、高次脳機能障害は後天性の脳機能障害、認知症は進行や悪化の認められる脳機能障害とされている。日本では2005年4月に発達障害者支援法が施行され、世間的には「発達障害」という言葉が広く知られるようになった。一方で「高次脳機能障害」は当時普及しておらず、自身が2005年春に脳卒中に倒れ高次脳機能障害となった時期と重なったことから、「自分とは何者か」を人に説明することに困窮した青年期を送った。こうした「見えない障害」という類似性から若年者から高齢者まで脳機能の障害や社会的マイノリティの存在に関心を寄せている。 DO-IT Japanの活動においては初年度から参加しており、2010年度DO-ITリーダー海外研修に論文審査で選抜され渡米。ワシントン州のシアトルでワシントン大学(University of Washington = UW)、レドモンドで米国マイクロソフト本社をそれぞれ訪れている。現地の高等教育におけるICTの活用を現場で視察し、次世代に向けたテクノロジーなどを体験。またアメリカにおける法制度についても学んでいる。この滞在時のことはレポートにしてまとめられた。 小林は18歳から元健常者・中途障碍者として外見からは見えない障害を抱えて生き始めた障害者と健常者の中でもボーダー、障害者というカテゴライズにおいてもグレーゾーンを生きている。こうした立場から、「障害者の感動ポルノを強く批判する声について、社会には『ここにも、あそこにも、困難を抱えている人はいる、困難は潜んでいる』ということを伝えたい、知ってほしいがゆえの『叫び』も混じっている。目に見えないところにも、たくさんの困難がちりばめられている社会。それなのに、わかりやすいハンディのある人だけが特別なステージを与えられ、スポットを浴びている。それが気に入らないということに自身の身体状況と生い立ちから一定の理解がある」と述べている。
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