『叫び』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 19:39 UTC 版)
「エドヴァルド・ムンク」の記事における「『叫び』」の解説
詳細は「叫び (エドヴァルド・ムンク)」を参照 『叫び』の4バージョン パステル、厚紙(1893年)。ムンク美術館。 油彩・カゼイン・パステル、厚紙(1893年)。オスロ国立美術館。 パステル、厚紙(1895年)。サザビーズ落札品。 テンペラ、厚紙(1910年)。ムンク美術館。 『叫び』はその遠近法を強調した構図、血のような空の色、フィヨルドの不気味な形、極度にデフォルメされた人物などが印象的な作品で、最もよく知られ、ムンクの代名詞となっている。絵葉書に始まり、様々な商品に意匠として採用されており、世界中で『モナ・リザ』と並び美術愛好家以外にも抜群の知名度を誇る作品でもある。 ムンクはこの作品の制作について、次のように自らの経験に基づくものであると説明している。 僕は、2人の友人と散歩していた。日が沈んだ。突然空が血のように赤く染まり、僕は憂鬱な気配に襲われた。立ち止まり、欄干に寄りかかった。青黒いフィヨルドと市街の上空に、血のような、炎を吐く舌のような空が広がっていた。僕は一人不安に震えながら立ちすくんでいた。自然を貫く、ひどく大きな、終わりのない叫びを、僕はその時感じたのだ。 映画『ホーム・アローン』で少年が叫ぶシーンにイメージが転用されるなど、パロディ化の影響もあって、橋の上の男が、自ら叫んでいるように誤解されることも多いが、実際には自然から発せられる幻聴に耐えかねて、耳を押さえている様子が描かれている。 『叫び』は1893年以降4点制作され(リトグラフ作品を除く)、ムンク美術館に2点所蔵されているほか、オスロ国立美術館所蔵と個人所蔵のものが1点ずつある。 このうち、オスロ国立美術館蔵のものは1994年2月12日、強盗団に盗み出される被害に遭ったがその後容疑者が逮捕され作品も取り戻された。2004年8月22日にはムンク美術館所蔵のテンペラ画が、同じく展示されていた『マドンナ』とともに、白昼、銃を持った強盗団に盗み出される被害に遭った。容疑者が逮捕されて有罪判決を受けた後、『叫び』と『マドンナ』は2006年8月31日に警察によって発見された。 個人所蔵のパステル画は、長年ノルウェーの実業家オルセン・ファミリーが所有していたが、ペッター・オルセンがニューヨークのサザビーズに出品し、2012年5月2日オークションにかけられた。その結果、1億0700万ドル(手数料込みで1億1990万ドル)という史上最高額で落札された。買主は公表されていない。ここまでの高額の落札になったのは、作家の評価と作品の知名度が高いことに加え、唯一の個人所蔵作品で市場における希少性があることや、来歴が確かでコンディションも良いといった条件がそろっていたことによる。
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