ポートホール型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 15:41 UTC 版)
ニュージーランドやオーストラリアからの欧州への輸送では、特殊な機構を備えたポートホール型の冷凍コンテナも使われている。この冷凍コンテナは、断熱材を全体に配した立方体の本体と、前扉部分とは反対側奥の妻壁部分上下に、穴(ポートホール)が2つあるのみで、冷凍ユニットは備わっていない。ISO規格で定まった位置の穴に、船から冷却風を供給・排出し循環させて冷却する仕組みになっており、代わりにコンテナ船側に専用の設備が必要である。またこの専用船では、船艙全体を断熱構造にすることが多い。このポートホール型コンテナを、船に積載する前や陸揚げ後は、岸壁近くに冷気供給装置を備えた専用の施設で管理しているが、そういった装置を備えない港や、トラック又は鉄道で輸送中では、通称「ランドセル」とよばれるポートホール型コンテナ専用の冷却ユニットを、金具を使って取り付けて管理している。 リーファーコンテナで大多数を占める外部給電式の最大の弱点は、常に電源に繋がって給電を受けていなければ、意味がないと言う点である。とくに鉄道輸送や、トレーラーなどでの輸送中には船舶とは違って輸送車両から直接の安定した給電は、ほぼ望めない。このような場合には、ディーゼル発電機を内蔵した小型の給電機器をトレーラーやコンテナ本体に取り付け、安定した電源を提供している。また鉄道で輸送する場合は、前記の個々のコンテナに取り付けるほか、コンテナの個数が多い場合には、コンテナ自体が大型の発電機となった専用の、『Power Generation Container(発電コンテナ)』を搭載し、一括して多数のコンテナの冷凍機器を集中管理して対応している。 しかし、そもそもコンテナ本体には冷凍機自体がなく、強力なエアコンからの冷気を常にパイプから噴出して、周りを冷やしているスポットクーラーの原理と同じポートホール型では、冷気自体を常に生み出す機能を備えた、ディーゼル発電機付の外付け冷凍機が必要となり、必然的に機器も大型となる。このシステムは、コンテナ船側に専用の設備を設置するため建造費用や設備の維持管理に多大なランニングコストが掛かる上、運用にも制約が多いために、現代の運用効率の向上や経費節約の流れから見れば、今後は縮小され、やがては消滅していくのではないかという観測がある。
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