ポリエン系抗真菌薬とは? わかりやすく解説

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ポリエン系抗真菌薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/19 15:53 UTC 版)

ポリエン系抗真菌薬(ポリエンけいこうしんきんやく、: polyene antimycotic)は、真菌をターゲットとした抗菌ポリエン化合物である[1]ポリエン系抗生物質(ポリエンけいこうせいぶっしつ、: polyene antibiotic)とも呼ばれる。これらのポリエン系抗真菌薬は通常、ストレプトマイセス属 (Streptomyces) のいくつかの種より得られる。これらのポリエンは真菌細胞壁中のエルゴステロールに結合し、細胞壁の漏出を促進することによって真菌を細胞死に導く。アムホテリシンBナイスタチンおよびナタマイシン等が、ポリエン系抗真菌薬の例である。

これらの化学構造は、環の一方に複数の共役炭素-炭素二重結合(ポリエン)を、もう一方に複数のヒドロキシ基を含む大員環(環状エステルラクトン〕)である。また、しばしばd-マイコサミン基(アミノグルコシドの一種)を有している[2]。一連の共役二重結合は通常紫外-可視領域の電磁波を強く吸収するため、ポリエン系抗真菌薬はしばしば黄色を呈している。

アムホテリシンBの化学構造。アムホテリシンBは、黄色を示すポリエン系抗真菌薬の例である。交互に位置する二重および単結合を中央に、マイコサミン基を右下に示している。
ナイスタチンの化学構造
ナタマイシンの化学構造。ピマリシンpimaricin とも呼ばれる。

その他のポリエンの例

出典

  1. ^ Dixon DM, Walsh TJ (1996). “Chapter 76: Antifungal Agents”. In Baron S. ed.. Medical Microbiology (4th ed.). Galveston (TX): The University of Texas Medical Branch at Galveston. PMID 21413319. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/bookshelf/br.fcgi?book=mmed&part=A4050 
  2. ^ Volpon L, Lancelin JM (2002). “Solution NMR structure of five representative glycosylated polyene macrolide antibiotics with a sterol-dependent antifungal activity”. Eur. J. Biochem. 269 (18): 4533-4541. doi:10.1046/j.1432-1033.2002.03147.x. PMID 12230565. 

ポリエン系抗真菌薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:57 UTC 版)

抗真菌薬」の記事における「ポリエン系抗真菌薬」の解説

作用機序は、真菌細胞膜構成する物質1つであるエルゴステロール結合して真菌細胞膜機能障害し、細胞内の成分漏出させて、真菌を殺す。しかし、ヒトなど動物の細胞膜を安定させる役割持ったコレステロールにも結合するため選択毒性低く副作用も強い。代表的な副作用には、発熱悪寒肝障害急性尿細管壊死など腎障害低カリウム血症などがある。抗真菌作用濃度依存的である。 なお、ポリエン系抗真菌薬はマクロライド構造有しポリエン系抗生物質」と呼ばれる場合もあるものの、マクロライド系抗菌薬とは異なる。細菌細胞膜ステロール含まないため、細菌に対してポリエン系抗真菌薬は、ほとんど抗菌活性示さないまた、ポリエン系抗真菌薬を経口投与しても非常に吸収され難いため、注射剤として使用するアムホテリシンBデオキシコール酸懸濁させた注射薬ファンギゾンが、深在性真菌症治療薬として使用されてきたものの、副作用のため充分な投与量投与期間が確保できなかった。リポソームアムホテリシンBであるアムビゾームは、アムホテリシンBコレステロール複合体リポソーム膜に組み込まれ構造をしており、その平均粒子径100ナノメートル小さいため、網内系細胞取り込まれ難い。 血中リポソーム構造維持したまま安定存在し、正常組織においては血管から漏出し難いに対して感染部位においては血管透過性亢進によりリポソーム漏出存在する真菌特異的に作用し真菌活性を示す。すなわち、リポソーム製剤のアムビゾームは、ファンギゾンよりも副作用緩和されている。 アムホテリシンB(amphotericin B)(AMPH)- 真菌直接殺す殺菌的な薬物だが、腎毒性の高さが問題である。 リポソームアムホテリシンB - アムホテリシンBリポソーム封入した製剤ナイスタチンnystatin)(NYS)- 消化管へのカンジダ感染経口投与用いる。外用薬として用いられる場合もある。

※この「ポリエン系抗真菌薬」の解説は、「抗真菌薬」の解説の一部です。
「ポリエン系抗真菌薬」を含む「抗真菌薬」の記事については、「抗真菌薬」の概要を参照ください。

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