ボールス卿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/05/20 01:05 UTC 版)
ボールス王の息子で、ライオネルと兄弟。円卓の騎士。ランスロット卿の従兄弟であり、ランスロット卿を助けるかたちでたびたび活躍する。また、聖杯探求を成し遂げた3人の騎士の一人でもある。 物語においては、アーサー王のローマ遠征の時期から登場しており、かなりの古参である。ローマ遠征後、物語の主役がアーサー王から円卓の騎士たちに移ると、放浪癖があるランスロット卿を探し回るなどの形でたびたび登場する。ランスロット卿に何かあると、相談役としてグィネヴィア王妃に呼び出されたり、ランスロット卿の代理としてグィネヴィアから試合にでるよう依頼されるなど、グィネヴィア王妃からかなり頼りにされている様子が窺える。 また、アグラヴェイン卿らの襲撃から逃げ出したランスロット卿がボールス卿のところへ駆け込んだり、あるいは負傷したランスロット卿がラヴェイン卿にキャメロットへ使いを頼む際、「ボールス卿を尋ねろ」と指示するなど、かなり頼りにされている。むしろ、ランスロット卿は弟であるエクター・ド・マリス卿よりもボールス卿を頼っているとすら言える。 聖杯探求においては、ガラハッド卿やパーシヴァル卿のような活躍はしないものの、彼らとともに旅をして、ついに聖杯に到達することに成功した。しかし、この後、ガラハッド卿、パーシヴァル卿は相次いで死亡してしまう。こうして、ボールス卿は、聖杯に到達した騎士の唯一の生き残りとしてアーサー王の宮廷に帰還し、聖杯について報告するのであった。なぜ、ボールス卿が聖杯に到達できたのかといえば、聖杯は童貞でなければ得ることができないとされていたためである。ボールス卿は一度だけ女性と臥所を共にしたことがあったが、以後は悔い改め、童貞を守っていたため、ランスロット卿すら到達できなかった聖杯に到達できたと説明されている。 物語の終盤、ランスロット卿とアーサー王の対立により内乱が始まると、ランスロット卿派について活躍した。その活躍の中でも特筆すべきは、アーサー王を落馬させ、もう少しで命をとることができる状況にまで追い込んだことであろう。もっとも、ランスロット卿に命じられ、しぶしぶながらボールス卿はアーサー王を解放している。 マロリー版においては、双方の対象であるアーサー王、ランスロット卿ともにあまり戦争には乗り気ではなく、ガウェイン卿やボールス卿といった部下にけしかけられ仕方なく戦争をしている。これは、薔薇戦争時、王権が弱く、大貴族におしきられ戦っていた当時のイギリスとの類似性が指摘されている。 戦争が和議によって終了すると、ボールス卿はランスロット卿によりクローダスの国王に封じられる。しかし、ランスロット卿が出家すると、彼に従い自身も出家した。また、ランスロット卿が死亡すると、彼の遺言に従い、エクター・ド・マリス卿らと聖地に向かい、そこで異教徒であるトルコ人らと戦い、聖金曜日に死亡した。 表・話・編・歴 アーサー王物語 主要人物 アーサー - イグレイン - イズールト - エクター - エレイン - グィネヴィア - トリスタン - パーシヴァル - バン - マーク - マーリン - 湖の乙女 - モーガン・ル・フェイ - モルゴース - モルドレッド - ユーサー - ロット その他の円卓の騎士 アグラヴェイン - アグロヴァル -アンボー- エクター・ド・マリス - エレック - ガウェイン - ガヘリス - ガラハッド - ガレス - グリフレット - ケイ - サグラモール - ディナダン - トー - パロミデス - ファリアン - ブルーノ - ベディヴィア - ペリノア - ペレアス - ボールス - マーハウス - ユーウェイン - ライオネル - ラモラック - ランスロット - ルーカン その他の人物 漁夫王 - ヴォーティガン - キルッフ - タリエシン - ベイリン - ヘラヴィーサ - ミルディン - ルキウス - ローエングリン - ディンドラン - リトー - フェルギュス - グリグロワ - 人物一覧 事物や場所など エクスカリバー - アロンダイト - 聖杯 - 円卓 - ベイドン山の戦い - カムランの戦い - アヴァロン - キャメロット - ティンタジェル城 - ドゥムノニア - コーンウォール - ウェールズ - 赤い竜 - 白い竜 主要作品 マビノギオン - ブリタニア列王史 - ランスロまたは荷車の騎士 - トリスタンとイゾルデ - ガウェイン卿と緑の騎士 - パーシヴァル - アーサー王の死 - 関連書籍一覧 - 関連作品一覧 関連項目 ケルト - ケルト神話 - 中世文学 - 騎士道文学 - 聖杯伝説 - 騎士道 - 宮廷愛
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