ペドフィリアになる原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 22:02 UTC 版)
「ペドフィリア」の記事における「ペドフィリアになる原因」の解説
ペドフィリアはそうなりたくてなるものではなく、貧富・教育・宗教・性別問わず、世界中に存在している。その原因はわかっておらず、先天的なものか後天的なものかに関しても結論は出ていない。 ペドフィリアは児童ポルノとの関係がよく議論されており、その因果関係に関してはさまざまな主張がある。 小児性愛障害と診断された人は、生まれながらにして子どもへの性嗜好を最初から有していたわけではなく、多くの場合、児童ポルノを通して「子どもは性的な存在である」という認識を強化し、認知を歪めていくとする考察もある。性犯罪に関する加害者臨床を専門とする斉藤章佳によれば、児童を対象としたポルノを見る行為を繰り返し重ねると、「小児=性的対象」だと無意識に刷り込まれて、行動化へのハードルが格段に低くなるという。そのため「児童ポルノがあるから現実の子どもに被害がいかない」「現実とファンタジーの区別はついている」という認識は誤りであると語っている。ペドフィリア当事者のヒアリングでは、95%が「児童ポルノが加害行為のトリガーになる」と答えた。小児性愛者は正常な人と比べて精神病質と認知の歪みを高く示すことが報告されている。小児性愛者ではない児童性虐待者は精神病質の傾向があるが、小児性愛者はその傾向はなかったという研究もある。 一方で、ハワイ大学のミルトン・ダイアモンドは「児童ポルノの合法化は子どもへの性的虐待の発生率の低下と関連がある」と示した。そのため、準児童ポルノの提供を提案している。 児童ポルノの利用が必ずしも現実の未成年者への性的な行動に直結するとも限らず、研究でも明確な結論は出ていないため、軽率な一般化をしないように注意喚起もされている。 小児性愛に関する情報を提供する支援プロジェクト「PedoHelp」や、小児性愛者のためのサポートグループ「Virtuous Pedophile」では、児童を性的に扱った写真や動画から離れるように助言されている。 性障害専門医療センターSOMECの福井裕輝は、子どもにしか興味がない「純粋型」と、大人に興味はあるがなにかしらの理由で性的欲求が子どもに向かう「非純粋型」の2種類のうち、純粋型については、遺伝性が高い3つくらいの遺伝子が関係しているのではないかと推測されているとし、親がそうでなくても、遺伝子による先天的な特徴であり、非純粋型については、ストレスや、成人女性に相手にされないといった環境的要因が大きいと語る。 Fiona DyshnikuやRachel L Fazioらによる、小児性愛者の遺伝的、身体的な特徴に関する研究も行われている。 小児性愛者は内気やうつ病である傾向が高いと報告されている。司法心理学コンサルタントのデレク・パーキンス教授は、「小児性愛は精神障害と認定されている。本人の意志で選ぶものではない」「小児性愛を行動に移さずにやっていける人も多い」としている。また、カナダの臨床心理学者であるジェームズ・カンター博士は、脳内の「混線」が原因だとし、妊娠初期の段階で胎児の脳がどのように形成されるかが鍵だと主張している。 小児性愛者の多くは子どものときに性的虐待を受けた経験があるという主張も流布されているが、研究ではそれは否定されている。
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