ペドフィリアとチャイルド・マレスター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:50 UTC 版)
「性的対象化」の記事における「ペドフィリアとチャイルド・マレスター」の解説
「ペドフィリア」および「チャイルド・マレスター」も参照 留意すべき社会背景の一つに、児童虐待の実態があまり知られていないことが挙げられる。 子どもに対し性的な夢想を抱く人間を小児性愛者(ペドフィリア)といい、子どもに対して性的な虐待を行う犯罪者を小児性犯罪者(チャイルド・マレスター)という。子どもに性的虐待を行う者はペドファイルの傾向があると思われがちだが、実際はそのような性向のない者が性的虐待を行うことも多くあり、専門家は深刻な差別や偏見の問題を指摘している。 特にアメリカでは、ペドフィリアは単なる性的な異常者として見られているだけではない。実際に子供への性犯罪を犯したかどうかを問わず、その性的嗜好を持っているだけで「絶対的な悪」として見られ、極めて強い嫌悪感を向けられている。戦時中の日系アメリカ人・赤狩り時代の共産主義支持者・現代のテロリスト支持者を連想させるように、実際の行動を問わず、ただ存在するだけで敵であり、それを庇うような発言をする者も敵として見なされている。 たとえば、1998年に3人の心理学者がアメリカ心理学協会(APA)の学術雑誌『Psychological Bulletin』に、「大人との未成年者の性行為は必ずしも害にはならない。強要・ 強制される行為とそうでないものとを分けて考える必要がある」という内容の論文を発表したことに対し、連邦議会の両院がその論文を強く非難する決議案を可決した事実がある。この決議案では「子供は神からの授かり物」で 「その保護は親と社会の神聖なる義務である」 と述べられ、独立した調査により論文に学術的な問題はないと判断されたにもかかわらず、その内容は連邦議会によって否定・批判された。下院での票数は賛成355票反対0票、上院では100対0であった。ミシガン大学教授のブライアン・キムバトラー(Bryan Kim-Butler)は、これがアメリカの歴史上で連邦議会が科学を否定する初めての異例の事態であり、アメリカでの子供と性についての議論が、社会的にも政治的にも合理性を失い、単なる感情論と化していることの表れであると指摘している。ペドファイルはそもそも社会の一員として見られていないため、憲法上の権利も当然有さないかのごとくである。
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