フランス系人口
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:41 UTC 版)
西半球には、民族的フランス人の子孫であると自認する人々が相当数いる。カナダのケベック州は、大西洋西岸のフランス系社会の中心地となっており、もっとも歴史の古いフランス系移民社会であると同時に、フランス語による芸術活動、メディア活動、教育の活発な中心地でもある。オンタリオ州とニューブランズウィック州を中心に、カナダの他の地域にも、多くのフランス系カナダ人コミュニティーが存在する。そのため、カナダでフランス人というとフランス国籍者よりもむしろ英語系住民との区別でフランス語系住民を指すことが多い。 アメリカ合衆国にもまた、数百万のフランス系移民が住み、その主な居住地はルイジアナ州とニューイングランドである。ルイジアナのフランス系社会にはクレオール、フランス領時代に移住してきたフランス人子孫、そして、18世紀半ばのアカディアにおける大規模追放(en:Great Upheaval)から逃れてきたケイジャンがいる。ニューイングランドについては、19世紀から20世紀初頭に大量に流入したフランス系移民は、ほとんどがフランス本国からではなく、ケベック州からの移民であった。彼らは、当時この地域に次々と建てられていた製材所や織物産業で働くために来たのである。今日、ニューハンプシャー州の人口の約25%がフランス系であり、この割合は全米でももっとも高い。 また、独立前のアメリカにおける、イギリス人入植地やオランダ人入植地が、多くのフランス人ユグノー教徒を引きつけたことにも触れておくべきだろう。後にニューヨーク州とニュージャージー州北東部となるオランダ人入植地では、フランス系ユグノーは宗教的にほぼ同じ教義を持つオランダ改革派のコミュニティーに、ほぼ完全に同化していった。フランス系であるという出自も忘れ去られ、名前をオランダ風に改名する者も多かった(例、意味の翻訳:ドゥ・ラ・モンターニュ(de la Montagne)> ヴァンデンベルフ(Vandenberg)。どちらも「山の」の意味。音の置換:ドゥ・ヴォー(de Vaux)>デヴォス(DeVos)あるいはデヴォー(Devoe))。イギリス人入植地でも、多くのユグノーが移民し、同様に同化していった。事実、これらの地域への入植は、ケベック州への入植とほとんど同規模であったのだが、既存コミュニティーへの同化により、フランス系の文化的固有性はほとんど失われていった。幾つかの彼らの文化的出自の痕跡として、ニューヨーク州のニュー・ロシェルは、ユグノー難民の出身地の一つであったフランスのラ・ロシェルから名付けられている。また同じくニューヨーク州のニュー・パルツは、ユグノー教徒の農村地域の建物が現存する地域である。 南アメリカでは、主にアルゼンチン、ブラジル、チリにフランス系の人々が居住している。 フランス国外に居住する、フランス系の特別な民族名をもつ集団として、ケベック人(ケベコワ Québécois)、アカディア人(アカディアンAcadians/Acadiens)、ケイジャン(Cajuns)の他に、ニューカレドニアのカルドッシュ(Caldoches)、またインド洋の諸島に住む、いわゆるゾレイユ(Zoreilles)やプチ・ブラン(Petits-blancs)がいる。北アフリカのフランス植民地時代にはピエ・ノワ(Pieds-Noirs)と呼ばれる多くのフランス系住民が居住していたが、植民地が独立した後はほとんどがフランスやイスラエルなどへの移住を余儀なくされた。
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