ヒトラーユダヤ人説とヒトラーの人となりについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 17:00 UTC 版)
「アドルフに告ぐ」の記事における「ヒトラーユダヤ人説とヒトラーの人となりについて」の解説
「アドルフ・ヒトラー」も参照 本作は「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人の血を引いている」という説を前提として創作されたものである。ヒトラーの父アロイスが父親のわからない私生児であり、またナチスの高官であったハンス・フランクがニュルンベルク裁判で絞首刑になる直前に著した本の中で「ヒトラーの祖母がグラーツのユダヤ人の家で家政婦をしていた時に生んだ私生児がアロイスであった」と記述したことから、この説は信憑性を持って語られるようになった。 手塚は、例えば『火の鳥』でも騎馬民族が弥生時代に入植し日本の支配層に入ったとする「騎馬民族征服王朝説」など、しばしば流行の学説を作品に取り入れて作品を作っており、この設定もその一環と推測される(騎馬民族征服王朝説も現在では否定されている)。手塚自身は本作の執筆終了後、『キネマ旬報』に連載していたエッセイの中で「最近、その父親、つまりアドルフ・ヒットラーの祖父にあたる人間は、ユダヤ人フランケンベルガーだった、という説がつよくなってきたそうである。もし事実だとすれば、ヒットラーは存命中必死にこの汚点をかくそうとしたであろう。これはぼくの「アドルフに告ぐ」の物語のひとつのテーマになっている」と記している。しかしこの仮説は手塚が連載を始めるかなり前にヴェルナー・マーザー、グラーツ大学のニコラウス・プレラドヴィッチ教授が行った調査などで否定され、現在ではほとんど支持する専門家はいない。ヒトラーの祖母クララがいた時代には、グラーツのユダヤ人は追放されており、存在していなかった。 また、作中でヒトラーはウィーン時代極貧生活を送っていたとされるが、実際は親の遺産や恩給を受給し、絵画や絵葉書の製作でそこそこの生活が出来ていた。貧しかったのは食生活だけで、下宿先の夫妻が食事を勧めても自分で入手した物以外は口にしなかったとされる。 ほか、悪化する戦況の中ロンメルに原爆による戦況逆転を語る場面があるが、史実のヒトラーは原爆を「ユダヤ人の科学」と見なし、関心を示さなかったとされている(詳細はドイツの原子爆弾開発を参照)。実際にアインシュタインやオッペンハイマーなど、原爆の理論や開発にはユダヤ系の科学者が多く関わっていた。
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