ヒトインフルエンザとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 03:40 UTC 版)
「鳥インフルエンザ」の記事における「ヒトインフルエンザとの関係」の解説
ヒトインフルエンザで、現在まで流行を繰り返してきた型は、(H1, H2, H3) × (N1, N2) である(ヒトには、B型・C型も感染する)。その他、家畜のブタ・ウマ・ミンク、野生のアザラシ・クジラの感染が知られている。ヒトに感染するタイプのウイルスは、水鳥起源のウイルスがブタに感染し、ブタの体内でウイルスが変異(交差)したという仮説があり、遺伝子 (RNA) 解読による進化系統分析の裏付け研究がなされている。 H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、鳥から鳥に感染するものであり、まれに人に感染することがあるが、ヒトインフルエンザウイルスと異なり、ヒトからヒトへの感染拡大は確認されていない。しかし、鳥インフルエンザウイルスの感染が広域化・長期化しているため、豚やヒトの体内で突然変異する危険性が高まっている。多くのウイルス学者らは、ヒト新型インフルエンザの発生が15-20年の周期で起きる可能性をすでに1980年代後半から示唆しており、最後の新型インフルエンザ発生にあたる1977年のソ連かぜから20年後に発生した香港鳥インフルエンザが新型ヒトインフルエンザとして大流行する危険性を指摘している。世界保健機関 (WHO) も、香港1997年型の発生直後から、鳥インフルエンザの監視体勢を強化しており、2005年には世界各地で流行している鳥インフルエンザが、いつ突然変異で新型ヒトインフルエンザになって世界的な大流行(パンデミック)を起こしてもおかしくないと警告している。そうなった場合、最大で5億人が死亡すると試算されている。 人から人へ感染するウイルスへと変異した場合の人体に対する毒性であるが、現状存在するインフルエンザウイルスとの遺伝子交雑で生まれた新型インフルエンザウイルスの場合、毒性は減少すると考えられている。しかし、ヒトインフルエンザウイルスと交雑せずH5N1単体で突然変異を起こし、人への感染力を持った場合は、現状の強毒性を保ったままの可能性がある。これは、スペイン風邪とソ連かぜのウイルス型が同一(H1N1型)であったにもかかわらず、死者数に大きな違いがあったことの原因の一つではないかと考えられている。
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