パーク内の野外展示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 02:55 UTC 版)
「フォッサマグナパーク」の記事における「パーク内の野外展示」の解説
フォッサマグナパークは、糸魚川ジオパークを構成する24のジオサイトの1つ、「糸魚川-静岡構造線・塩の道(北部)」に含まれている。公園内には根知川の流れと並行するように、遊歩道(見学所要時間約20分)が整備されている。この遊歩道を散策しながら、断層露頭や枕状溶岩などが見学できる。 断層露頭(Exposed Portion of the Fault Line) 前項で述べたとおり、糸魚川静岡構造線を人工的に露出させて見学可能にしたものである。糸魚川静岡構造線は総延長約250キロメートルとされるが、直接観察可能な露頭は少なく、しかも両側の岩石の年代差が同構造線の露頭中で最大のものである。 東日本側(北アメリカプレート)の岩石(約1600万年前)と西日本側(ユーラシアプレート)の岩石(約4億年前)が約2メートルの断層破砕帯(白色から褐色を呈する)を挟んで接している。東日本側(暗褐色)の岩石は安山岩主体で、西日本側(暗緑色)は変斑レイ岩主体である。 この断層破砕帯(すなわち糸魚川静岡構造線そのもの)を構成するのは、両側の岩石から生成された細かい破片および粘土である。顕微鏡での所見によればこれらの破片には両側に薄い粘土層が尻尾状に付着していて、2方向から強い力の作用で引き延ばされ、岩石が何回もこすれ合って細片となったことがわかる。断層露頭は、1996年8月27日に糸魚川市の天然記念物となった(指定名称は「根知の糸魚川-静岡構造線露頭」)。 枕状溶岩(Pillow Lava) 海底火山の噴火によって約1400万年前に形成された。一見すると枕が積み重なったような模様がある溶岩(玄武岩)で、上に重なる地層から海棲の二枚貝の化石が見つかっているため、生成当時は海底にあったことがわかる。海底火山の溶岩が水中で流れ出して海水で冷却された状態を示し、ピローローブ(Pillow lobe)と呼ばれる1本のチューブ状溶岩が何本も重なって枕状溶岩となる。古いピローローブの殻を突き破って中の溶岩が流れ出し、新たなピローローブを形成することを繰り返して形成されたものである。 遊歩道沿いには「車石」と呼ばれる枕状溶岩が存在する。直径12メートルに及ぶこの溶岩は、日本で最大級とされる。溶岩の割れ目部分が車輪に似ているためこの名称で呼ばれるが、落石の危険性があるため一部分のみの公開である。この車石も、断層露頭と同じく糸魚川市の天然記念物である(1996年8月27日指定、指定名称は「根知の枕状溶岩」)。 メノウ(agate) 溶岩中には、多くの空洞ができていて、その中に白色で丸い形状のメノウが観察できる。これは溶岩中に含まれていたガスが抜けて空洞になり、その後地下からメノウの成分が含まれた熱水が入り込んで固まったものである。 さらに詳しく観察すると、メノウ以外に水晶の小片が見つかることもある。これはもともと、メノウと水晶がどちらも同じ石英からできていることによるものである。このメノウや水晶ができた時期は、枕状溶岩と同じく約1400万年前である。
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