ナチス機関誌加担についてとは? わかりやすく解説

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ナチス機関誌加担について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 23:46 UTC 版)

テオドール・アドルノ」の記事における「ナチス機関誌加担について」の解説

1933年ナチスアメリカ黒人ジャズ禁止すると、アドルノは、ジャズ愚かであって救済すべきものはなにもなく、「ジャズ禁止によって北方人種への黒人種の音楽影響除去されないし、文化ボルシェビズム除去されはしない除去されるのは、ひとかけら悪しき芸術品である」と、当時ナチス頻繁に使用していた「除去」「人種」「文化ボルシェビズム」といった言葉使用して批評した1934年アドルノは、ナチ全国青年指導部(Reichsleitung)の広報誌月刊ムジーク1934年6月号に論評発表し、ヘルベルト・ミュンツェル(Herbert Müntzel)作曲ツィクルス「被迫害者の旗(Die Fahne der Verfolgten)」を誉めた。この曲はヒトラーユーゲント全国指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの詩に曲をつけたものであったアドルノはこの曲がすばらし根拠は、「シーラッハの詩を選ぶことで自覚的に国民社会主義的な特徴しるしている」こと、またヨーゼフ・ゲッベルスが『ロマン主義リアリズム』と規定した新しロマン主義表象化が追求されていることにあると書いた。 1963年1月雑誌『ディスクス』上でクラウス.Chr.シュレーダーは、アドルノは「ミニマ・モラリア」で「アウシュビッツ後でドイツ詩はもはや書くこと不可能であると書いたが、ユダヤ人虐殺仄めかしたシーラッハの詩を賞賛していたこととどう折り合わせるのか、また戦後アドルノナチ共犯者断罪してきたが自分過去言動については口を拭ってきたではないか」と質問した。この公開質問に対してアドルノはその論評書いたことは「慙愧にたえない」が、理性的な読者ならあの論評は「新し音楽」を弁護したものであり、「善意からのおもねりとして理解すべき」であると弁明した。また月刊ムジークは非政治的な雑誌であり、アドルノはその論評書いたすぐ後の1934年夏にはナチス自発的に協力することはやめたし内奥までファシストであるハイデッガーと私を比べることはできない弁明したハンナ・アーレントカール・ヤスパース宛書簡で、アドルノ弁明について「言いようもなくみっともない」「真に破廉恥な点は、純ユダヤ人のなかでは半ユダヤ人の彼が、あのとき一歩ナチス機関誌批評掲載したこと)を友人たちにまったく知らせず踏み出したこと」と批判したアーレントアドルノに対して嫌悪感持った理由としては、アドルノナチス迫害されヴァルター・ベンヤミン生存中に支援しなかったことや、アーレントから見るとアドルノユダヤ人左翼知識人対す背信であったことなどが挙げられている。ヤスパースアーレント宛書簡で「なんたるぺてん。彼を読んだかぎりでは―才知富み計り知れぬほど多く知りあらゆる角度からすべてを吟味しつつ、叡智の最高の高みから書いているような著作にすら―なに一つ信用するに足るものはない」とアドルノ酷評している。 アドルノナチス機関誌加担問題1985年アーレントヤスパース往復書簡公刊されてから1990年代に再び持ちされようになった。エスペン・ハンマーによればアドルノナチス機関誌加担問題ハイデッガーナチス加担問題比すべき問題であるが、アドルノ戦後ナチスナチス加担した知識人について批判してきただけに、その知的誠実さ疑問視させるものであり、反調停的な倫理ラディカル知的自律性といった戦後アドルノ主張のすべてを疑問視することになると論じている。

※この「ナチス機関誌加担について」の解説は、「テオドール・アドルノ」の解説の一部です。
「ナチス機関誌加担について」を含む「テオドール・アドルノ」の記事については、「テオドール・アドルノ」の概要を参照ください。

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