ナチス犯罪の公訴時効
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:17 UTC 版)
ナチスによるホロコーストなどについては、フランスなどで公訴時効を無期限停止した(たとえば「人道に対する罪に対する時効不適用を確認する法」など)。 2001年にはイタリアが、第二次世界大戦中に同国北部で大量虐殺事件に関わったとされる元ナチス親衛隊将校フリードリヒ・エンゲルの犯人引渡しを求めた。ドイツは引渡しを拒否する一方で翌2002年に同国のハンブルクで裁判を開始した。犯罪終了(終戦)から57年を経て公訴提起された例である。 ナチス時代の行為でドイツにおいて公訴時効が停止されているのは「謀殺罪(計画的殺人)」であるが、これはあくまでも謀殺罪一般の公訴時効が停止されているのであり、法律上はナチスと関係はない。また、謀殺罪以外のナチス時代の犯罪は全て時効が完成している(そもそもドイツの刑法上「ナチス犯罪」に関する法的定義は存在しない。このため「ナチス犯罪の時効を停止する」事は法律上不可能である)。しかし、ドイツにおける謀殺の時効は1871年以来、帝国刑法典が20年と定めていた。だが第二次大戦後、ナチスの虐殺が政権崩壊から20年を経た65年に時効になることが問題になり、連邦議会は起算点を西ドイツ成立の49年に変更した。その後、諸外国の圧力から時効を30年に延長し、その期限となる79年に謀殺の時効を廃止した。この背景によりしばしば「ナチス犯罪に時効は存在しない」という論調がなされることがある。
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