ドラム・トリガー・システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 00:04 UTC 版)
「神保彰」の記事における「ドラム・トリガー・システム」の解説
先述の「ワンマンオーケストラ」を実現するために考案した「ドラム・トリガー・システム」と呼ばれるこの機材の第1号機は、1990年代初頭にヤマハが開発したもの。叩くと電気が発生するピックアップ(圧電素子)や電子ドラムパッドを接続し、それぞれのパーツから打撃を受けると、機材内で設定したMIDIの信号に変換する仕組みを付け加えたものである。 さらにこの機材には、それぞれのパッドや生ドラムが叩かれた際に、1種類・1音程のMIDI信号を鳴らすだけでなく、あらかじめ下記のような信号に変換する設定を収められる。 鳴らす和音・音色(音色を変えてドラム以外の楽器の音を鳴らす) 叩かれた回数に応じて鳴らす音程(たとえば、3回叩くと「ド、ミ、ソ」と流れ、もう1度叩くと「ド」に戻り、この3音のループを繰り返していく。変化させる音程や前述の和音の上限は1990年初頭の機材では4音までだったが、2010年現在の市販機材「DTX900」ではマニュアルによると和音・音程切り替え合わせて、一つのパッドの叩いた場所/ピックアップごとに最大100種の音符設定を記憶できる。1つの打撃で同時に違った音色を鳴らしたり、長く鳴る音や短く鳴る音を決めたりすることもできる) 上記2点の組み合わせを取りまとめたセットの記憶 セットを複数切り替える機能(パッドの1つが切り替えスイッチとなっており、これによりメロディやコード進行の変化に対応している) これにより一人での多重パート・メロディ演奏が可能となる。かつては19インチラックに収めるデザインだったが、近年ではドラムセットの傍らに置いて操作できるコンパクトな機材となった。この機材にもMIDI端子が付いており、サンプラーを接続すれば肉声や自然音も演奏できる。神保自身のライブでは外部MIDI音源を接続し使用している。 なお、上記2番目の機能は神保の演奏を見ても、シーケンサーによる自動演奏のフレーズを鳴らしているだけと思われがちだが、機材にプログラミングされているのは音程の順序と長さだけなので自動で曲が鳴ることはなく、どの場所を何回どのタイミング・順序で叩くかを完全に習得しないと曲に聴こえない。演奏ミスはまれに見られ、TV番組のインタビューにて「1打多く打ったらどこかで1打少なくして帳尻を合わせる。合わせられない場合はそのセクションを捨てて次へどんどん進んでしまう。どうしようもなくなった場合はMCでフォローする」と語った。また、キーボードによる演奏と違って「音を止める」タイミングを演奏者が決められないため、「長く鳴らす音」「短く鳴らす音」をあらかじめプログラミングする必要がある。聞こえてくる音楽に合わせて太鼓や画面を操る音楽ゲームとは全く逆に、人が音を鳴らすタイミングを決めると捉えてもよい。TV番組のロケでゲームセンターの音楽ゲームに挑戦した際には思いの外苦戦していた様子が放送されている。 神保の説明によると「テープやシーケンサーによる同期演奏とは全く異なる。同期演奏はクリックのタイミングに演奏が縛られるが、ワンマンオーケストラでは自分のタイム感でバンドオーケストレーションを作り上げることができる」という(教則ビデオ"PULSE"より)。
※この「ドラム・トリガー・システム」の解説は、「神保彰」の解説の一部です。
「ドラム・トリガー・システム」を含む「神保彰」の記事については、「神保彰」の概要を参照ください。
- ドラム・トリガー・システムのページへのリンク