デフレ・ギャップとは? わかりやすく解説

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デフレ‐ギャップ

deflationary gapから》完全雇用の状態で実現される生産水準(総供給)を基準にして、現実有効需要総需要)が総供給よりも低い場合の差。⇔インフレギャップ


産出量ギャップ

(デフレ・ギャップ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/19 18:10 UTC 版)

米国経済のGDPギャップ。潜在GDP (細線) と実際のGDP (太線) の差分がGDPギャップである。(米国議会予算局による2009年1月の推計値)[1]
各国の産出量ギャップの対GDP比 (%) (IMFによる2009年の推計値)

産出量ギャップ(さんしゅつりょうギャップ、: output gap)とは、経済学にて、潜在産出量(潜在GDP)と実際の総産出量(actual output、実際の国内総生産)の差である。GDPギャップ(GDP gap)または需給ギャップとも呼ばれる。直接観測することは不可能ではあるものの、推定値が計算されている。

概要

総産出量をY、潜在産出量をY*とすると、Y-Y*で算出される。この差が正数ならインフレ・ギャップ (inflationary gap) と呼ばれ、総需要の増加が総供給の増加を上回っていること[2]を示し、供給不足になると、物価は継続的に上昇して経済インフレーション(物価上昇)になる。負数であればデフレ・ギャップ (recessionary gap) と呼ばれ、デフレーション(物価下落)をもたらす圧力となる[3]

テイラー・ルールの考え方では、実際のGDP = 潜在GDP が望ましい状態で、実際のGDP > 潜在GDP では引き締めるべきで、実際のGDP < 潜在GDP では緩和するべきである。

日本は日本銀行[4]と内閣府[5]が潜在産出量と産出量ギャップの推定値を、米国は議会予算局が潜在産出量の推定値[6][7][8]を発表している。日本銀行と内閣府の産出量ギャップの推定方法は異なるため推定値も異なる。例えば2020年第2四半期の内閣府の推定は-9.5%なのに対して、日本銀行の推定は-4.26%と異なる。真の値は不明なため、どちらの推定が正しいのかは不明である。

GDPギャップのパーセンテージは、実際のGDP(GDPactual)と潜在GDP(GDPpotential)の差を潜在GDPで割って算出される。

1975年以降の米国のGDPギャップ。影付きの部分が景気後退期。[8]
米国の 実際のGDP > 潜在GDP の時期[8][17]
時期 景気後退期
1978 Q2 ~ 1979 Q4 1980/1 ~ 1980/7
1981/7 ~ 1982/11
1988 Q4 ~ 1990 Q1 1990/7 ~ 1991/3
1997 Q2 ~ 2000 Q4 2001/3 ~ 2001/11
2005 Q1 ~ 2007 Q4 2007/12 ~ 2009/6

関連項目

出典・脚注

  1. ^ Real Potential Gross Domestic Product, Real Gross Domestic Product | FRED | St. Louis Fed
  2. ^ 【カブドットコム証券】インフレギャップ 金融証券用語集2021年12月19日閲覧
  3. ^ Richard G. Lipsey and Alec Chrystal. Economics. Oxford University Press. 11th edition. January 2007. p. 423.
  4. ^ 需給ギャップと潜在成長率 : 日本銀行 Bank of Japan
  5. ^ GDPギャップ、潜在成長率 - 月例経済報告 - 内閣府
  6. ^ Recurring Reports | Congressional Budget Office の Budget and Economic Outlook and Updates
  7. ^ Real Potential Gross Domestic Product (GDPPOT) | FRED | St. Louis Fed
  8. ^ a b c 100*(Real Gross Domestic Product-Real Potential Gross Domestic Product)/Real Potential Gross Domestic Product | FRED | St. Louis Fed
  9. ^ a b 1~3月期のGDP需給ギャップ、マイナス0・7%…年4兆円程度の需要が不足”. 読売新聞オンライン (2023年6月30日). 2023年7月19日閲覧。
  10. ^ a b 今週の指標 No. 1315 2023年1-3月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について”. 内閣府 (2023年6月30日). 2023年7月20日閲覧。
  11. ^ 日本経済2010-2011 付注1-1 GDPギャップの推計方法について”. 内閣府 (2010年12月10日). 2011年4月29日閲覧。
  12. ^ 平成19年度年次経済財政報告 付注1-2 GDPギャップの推計方法について”. 内閣府 (2007年8月). 2011年4月29日閲覧。
  13. ^ 今週の指標 No.1026 SNA基準改定後のGDPギャップ”. 内閣府 (2012年3月19日). 2012年3月21日閲覧。
  14. ^ 日本経済2011-2012 第1章 第1節 揺れ動く日本経済”. 内閣府. 2012年5月31日閲覧。
  15. ^ 今週の指標 No.1055 2012年7-9月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について(今週の指標No.1049図1のアップデート)”. 内閣府 (2012年12月14日). 2012年12月15日閲覧。
  16. ^ 今週の指標 No.1032 2012年1-3月期のGDPギャップは改善”. 内閣府 (2012年5月28日). 2012年12月15日閲覧。[リンク切れ]
  17. ^ en:List of recessions in the United States

外部リンク


デフレギャップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 05:32 UTC 版)

デフレーション」の記事における「デフレギャップ」の解説

詳細は「産出量ギャップ」を参照 デフレギャップ(Deflationary gap)は、実際需要現実供給力下回り、 総供給総需要 の状態となったその差(乖離ギャップ)のこと。「マイナスの需給ギャップ」や「GDPギャップ」とも言う。 デフレ・ギャップが恒常的に存在することで、失業増加物価水準下落成長率減少が続く。デフレギャップを解消するには、需要増やす供給を減らす必要があるが、市場において供給システム出来上がっているケース供給を減らすことは容易ではない一般に政府減税金融緩和政策政府支出増大させるなどを行い需要喚起する政策取られる。国によっては兵役雇用創出する場合もある。日本ではこのギャップ数値は、内閣府レポートに「需給ギャップ」として発表される。 他の事情一定の場合総需要減少する物価下落しGDP減少する総需要拡大する物価上昇しGDP拡大する岩田規久男は「総需要も総供給増加追いつくように増加しなければ需要不足から不況となり、需要不足が大きくなっていくとデフレ不況陥る」と指摘している。田中秀臣は「『デフレ不況』とは、総需要減少によってデフレ・ギャップが拡大することで、失業物価下落生じている状態である」と指摘している。田中は「総需要の不足、デフレ・ギャップが解消されない限り、どれだけ潜在成長率高めてデフレ不況解消できない」と指摘している。 社会全体総需要は、財政・金融政策によって変化させることができる(ケインズ・モデル)。田中秀臣は「デフレ・ギャップが存在すれば、需要喚起する政策行い失業解消を図る必要がある」と指摘している。 総需要完全雇用供給一致させる=GDPギャップゼロにするということは失業率自然失業率に近づけインフレ率適正な水準安定させるということであり、マクロ経済政策目的である。

※この「デフレギャップ」の解説は、「デフレーション」の解説の一部です。
「デフレギャップ」を含む「デフレーション」の記事については、「デフレーション」の概要を参照ください。

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