デジタルカメラ普及に伴う市場縮小、そして再評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 01:25 UTC 版)
「レンズ付きフィルム」の記事における「デジタルカメラ普及に伴う市場縮小、そして再評価」の解説
2000年代始めからは、デジタルカメラの実用化とデジタルカメラに必須となるデータメディアの低価格化・高性能化による急速な普及、携帯電話に搭載されるカメラ撮影機能の高性能化により、市場需要は減少に転じた。これにより、多くのメーカーがレンズ付きフィルムの生産販売から撤退し、継続展開している富士フイルムも製品の値上げやラインアップの縮小(2020年以降は1タイプのみ生産中)を実施している。 しかし、デジタルカメラと違い、撮影した画像の修正が非常に困難なこと、安価で入手しやすく扱いやすいこと、シンプルかつ堅牢な構造であることから、証拠写真としての利用や、デジタルカメラに適さない環境(例えば海岸・水中・砂漠・寒冷地・電子機器の利用が禁止されている環境など)での撮影には根強い需要がある。また海外旅行での撮影の場合、高価なデジタルカメラは盗難や紛失の危険があること、故障しても現地での修理が困難、電源方式の違いにより充電できない場合がある、といった事情から、盗まれても最小限の被害で済み、故障の少ないレンズ付きフィルムを使用する、もしくは予備として持ち歩く事例もある。石川直樹など、プロ写真家にも過酷な撮影地に強いレンズ付きフィルムを愛用する者がいる。石川によれば、気温がマイナス30度から40度に達する極地ではカメラの故障や電池切れに見舞われることは少なくなく、過酷な環境でも問題なく使用できるレンズ付きフィルムは重宝しているという。実際に南極では持参した3台の一眼レフカメラがいずれも故障してしまい、南極点に到達した際の写真はレンズ付きフィルムで撮影したものだった。エベレスト登頂や小笠原諸島での海中撮影の際にも防水タイプのレンズ付きフィルムが役立ったという。写真店の店主によると、デジタル世代に若者には「フィルムカメラは斬新」であり、現像の手間を楽しむ若者が多く購入しているという。 また、(当初のコンセプトである)カメラを忘れた場合に加え、カメラを紛失した、バッテリーが切れた等の際にも需要がある。東日本大震災でも、津波でカメラを失ったユーザーが罹災証明を取得するために必要な写真をレンズ付きフィルムで撮影した例が多数あるとされる。これは充電が不要という利点があり、ほかに内陸部でも地震でパソコンが故障し保存していた画像データが取り出し不能になったため代替利用された例もある。
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