テロの世紀へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 14:56 UTC 版)
アフガニスタンにおける1970年代からのクーデター、ソ連軍のアフガニスタン侵攻、引き続く内戦から2001年のアメリカによる空爆にいたる時代を舞台にしたカーレド・ホッセイニ『カイト・ランナー』(2003)は、世界的なベストセラーとなった。ヤスミナ・カドラはタリバン支配下の人々の苦悩を描く『カブールの燕たち』(2002)など、戦争やテロの根元となるものを探求している。 2011年の9.11アメリカ同時多発テロ事件以降のアメリカでは、事件そのものを扱ったドン・デリーロ『墜ちてゆく男』(2007)などの作品が書かれ、ジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2005)では過去の戦争におけるドレスデン空襲や、広島への原爆投下などの悲劇が重ね合わされている。テロ事件に続くイラク戦争に派兵された兵士を描くケヴィン・パワーズ『イエロー・バード』(2012)やフィル・クレイ『一時帰還』(2014)は、ベトナム戦争における『本当の戦争の話をしよう』に比較される。リー・カーペンター『11日間』(Eleven Days, 2013)は、息子が中東に派遣されて行方不明になる母親の姿を追っている。パオロ・ジョルダーノ『兵士たちの肉体』(2012)は、アフガニスタン紛争に派兵されたイタリア人兵士達を描く。津島佑子『葦舟、飛んだ』(2011)は、太平洋戦争中の疎開の記憶を掘り起こしながら、アフガニスタン紛争や湾岸戦争、イラク戦争下の子どもたちに思いを馳せている。シリン・ネザマフィ「サラム」(2006)では、日本に難民申請するアフガニスタンの少女と、周囲の世界が描かれる。対テロ戦争におけるCIAによる拷問のテープをめぐるサスペンス小説、バリー・アイスラー『インサイド・アウト』(2010)など、スパイ小説でもさまざまな作品が書かれている。 ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争においては、ボスニアの人々の運命を描く、サーシャ・スタニシチ『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』(2006)や、紛争を取材したスペインのアルトゥーロ・ペレス=レベルテ『戦場の画家』(2006)、テア・オブレヒト『タイガーズ・ワイフ』(2011)がある。。
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