テレビCM規制の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:48 UTC 版)
「日本国憲法の改正手続に関する法律」の記事における「テレビCM規制の問題」の解説
国民投票法には国民投票広報協議会を設置して割り当てる規定はあるが、前述のとおり公式な政見放送のようなものを念頭に置いたもので民間メディアを利用した広告合戦についての規制はほとんどない。国民投票法には14日(2週間)前からは禁止と規定しているが、このことを裏返して言えば14日以前は誰でも自由にCMを流せるということである。しかも、公式な放送や広告は14日前に打ち切られるが、「賛成に投票を」と呼びかける勧誘ではなく「私は賛成です」と表明するだけの内容、一般的な意見広告なら、14日以降も規制の対象にならない。公平性の問題もある。CM放送には、一本で数百万円が必要と言われる(キー局のゴールデンタイムの例)。国民投票運動には、通常の選挙運動と違って費用の制限はない。それゆえ資金力に勝る側がゴールデンタイムなどに大量にCMを流して圧倒的な優位性を作り出し、選挙結果に影響を与える懸念もある。ちなみに、ヨーロッパ諸国(イギリス、フランス、イタリアなど)では国民投票について、テレビスポット広告の禁止規制を打ち出しており、日本の制度は過度に「自由競争」的で経済的な「強者」に有利な制度となっている。そこで有料CMを全面禁止にすべきだという指摘がある。2016年に欧州連合(EU)離脱をするか国民投票をしたイギリス(ブレグジット)では、全面禁止した代わりに、賛否両派の代表団体に無償でCM放送枠を平等に割りあてた。賛成・反対の量が同じで公平性を保てるよう、放送時間や資金を規制するべきだという声も根強くある。一方、憲法や言論法の専門家からは「CMも表現の一つであり、表現の自由の観点から規制は問題」「言論には言論で対抗すべきだ」という慎重意見もある。 また、質の問題もある。CMが流される15秒~30秒くらいの時間では改憲案の利点や問題点、必要なデータなどを充分に伝えることは難しく、イメージ重視の訴えになりやすい。国民投票運動が展開される60~180日の間に扇情的なメッセージが流され続けたら、国民の判断を歪めてしまわないかとの懸念が市民団体などからあがっている。2015年にあった大阪都構想の住民投票では、賛否両陣営が計数億円の広報費を投じ、イメージ先行型のCMを連日放映して、「消耗戦だ」と批判があがった。
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