スカウト・身分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 17:13 UTC 版)
アメリカやロシアの場合宇宙飛行士の初期において多くは空軍、海軍のテスト・パイロットから選抜された。彼らは軍に籍を置いたまま出向の形でNASAに所属する。NASA職員も国家公務員であるため軍を退職する必要はなく、任務が終了したり適性を失ったりすると軍に復帰するか、操縦士であれば操縦訓練の教官やNASAが運用する航空機の操縦士として働くのが一般である。彼らは宇宙飛行士としては元の軍の階級で呼称される。 現代では自然科学系の大学を卒業し、一定期間の実務経験を有する技術者・科学者・医師から、チームワークやリーダーシップの実績、コミュニケーション能力など「ライトスタッフ」と呼ばれる資質を有する者を選抜している。NASAでは応募者が増えすぎたことや結果的に選ばれているためとして、2020年から修士号が必須となった。また応募する者の傾向としては、南極観測隊や自然環境での救助活動の経験者、自家用操縦士を有する者が多いという。なお現在のNASAではT-38での訓練を実施している都合上、操縦士を欲している。 JAXAが2021年に募集した要項は、日本国籍、身長149.5~190.5cm、矯正視力1.0以上、3年以上の社会人に相当する実務経験、学歴不問としている。資質としては協調性やリーダーシップの他、社会への発信力など広報能力も重視される。学歴不問であり修士号や博士号は実務経験としてカウントされるが、筆記試験は大学教養レベルや国家公務員の採用試験レベルとされる。2008年までは、自然科学系の学士号、実務経験は自然科学系に限定されていた。 日本では自衛官がJAXAの宇宙飛行士選抜試験を受けることは可能ではあるが、合格した場合にはJAXAの職員となるため、自衛隊を退職しなければならない。JAXA職員は公務員でないため、自衛隊との兼業はできない。2015年までに油井亀美也と金井宣茂が宇宙飛行士に選ばれ退職している。両名ともJAXAに在籍したままであるが、自衛隊に復帰できるのかは不明。 JAXAの職員や海上保安官も要件を満たせば受験は可能で、2008年の試験ではJAXAの地上管制官と海上保安庁のパイロットが最終選考まで残った(ドキュメント宇宙飛行士選抜試験)。 NASAでは定年や異動による自然減に対応するため常時12名前後の現役として待機させており、これに合わせアメリカ政府職員の求人サイト(USAjob.gov)を通じて、求人を行っている。また軍のパイロットからの選抜も別途行われている。2020年の募集では1万2040人の応募があった。
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