ジェットバルブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 06:08 UTC 版)
「ミツビシクリーンエアシステム」の記事における「ジェットバルブ」の解説
ジェットバルブはサインペンほどの太さの金属筒内に、傘部直径3mm程度のポペットバルブ、バルブスプリング、ステムシール、リテーナー、コッターなどの通常の吸排気バルブと同じ構造の部品が組み込まれており、シリンダーヘッドにはバルブユニットASSYの状態で点火プラグと同様にねじ込み装着される。燃焼室側には渦流室式ディーゼルエンジンの噴孔に似た形状の噴出孔が装着されており、強力なスワール流の形成と同時に、ジェットバルブ傘部が直接燃焼炎に晒される事を防いでいる。ジェットバルブへの駆動伝達は、吸気バルブ側のロッカーアームを二又に分岐させる事で行われており、スペースの制約からタペットはアジャストスクリュー方式が最後まで用いられた。ジェットバルブ単独のオーバーホール(バルブシート摺合せ)も可能であるが、原則として不具合が生じた場合にはバルブユニットごとASSY交換される。 同時期の日産・Z型エンジン(NAPS-Z)が、MCA-JETと同様の「大量EGR下での安定した燃焼」という命題を克服するために、吸排気ポートをシリンダーに対して螺旋形状に配置したスワールポートとし、点火プラグを1シリンダー辺り2本とするツインプラグ構成を採っていたのに対して、MCA-JETはごく一般的な形状の吸排気ポートとシングルプラグ構成であっても、ジェットバルブを追加するだけで強力なスワール形成が行えるようになる事から、1977年にG11B オリオン80エンジンに搭載されて53年規制に適合して以降、軽自動車用の2G2型、普通車向けの4G3型や4G6型、4G5型へと順次採用が拡大されていった。 また、当時三菱と提携していたクライスラー(ダッジ及びプリムス)の販売ルートに車輌そのもの(バッジエンジニアリング)やエンジンのOEM供給を行う事で、MCA-JETとサイレントシャフト搭載エンジンは北米市場にも拡販されていった。また、韓国の現代自動車にもクライスラーと同様の形でMCA-JETエンジンの供給が行われ、韓国国内でも販売が行われた。 しかし、その後三菱製エンジンの主力が半球型燃焼室のSOHCからペントルーフ型DOHCへ移行していったことや、SOHCエンジンにおいても三菱・シリウスDASH3×2を経てMVVなどのマルチバルブヘッドへと移行していったことで、MCA-JETの採用は1986年登場の6G7型V型6気筒のSOHC 12バルブエンジンや1987年登場の3G81型直列3気筒のSOHC 6バルブエンジンなどを最後に行われなくなった。 また、ジェットバルブはバルブスプリングが非常に柔らかく、高回転域でバルブサージングを起こしやすい欠点があり、動弁機構の軽量化の妨げにもなりやすかった為、チューニングカーの世界においては、クランクシャフトの2倍の回転数で回るために、高回転域で焼き付きを起こしやすいサイレントシャフト共々、部品交換により無効化される事が多かった。
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