ショルダーループ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 07:58 UTC 版)
一般的にはショルダーストラップと呼ばれている。背嚢などの革帯を潜らせて安定させるという機能が重視されて発達したものである。帯状又は短冊形で、上着と同じ或いは類似した材質の布を肩側で縫い付け、襟側をボタンで留めるのが一般的であり、自衛隊では曹士用制服がこの方式である。民間で使用されているトレンチコートやミリタリー風シャツ、サファリジャケットの肩章もこの類である。上着が折り襟や開襟の場合、襟側端部が襟に隠れていることが多い。戦闘服に付いているものは上着と同じ布がほとんどだが、常装や礼装用の上着の場合、色違いの布を用いることもある。 常装用上着の場合、礼装用肩章と付け替えるために取り外し可能にしてあるものもある。この場合、礼装用肩章のための留め金通しを覆う形で、襟側は上記のものと同様にボタン留めし、肩側を飾緒用の隠しボタンに留めたり、自衛隊の尉官以上の制服に見られるように、マジックテープで留めたりする。これは主に将校のオーダーメード服に見られる。一方、戦車兵等は狭い所で突起物に引っかからないように全周を縫いつける場合もある。 士官の肩章としてはエポーレットやショルダーノッチが主流であった時代も、機能性がより強く要求される兵・下士官用の肩章はこのタイプが多く用いられた。かつては服生地の色とコントラストをなす鮮やかな色(兵科色等)が好んで用いられていたが、第一次世界大戦後は服生地と同色、あるいは同系のやや濃い色のものが主流になった。逆に正装が簡略化されたため、エポーレット等に代わってこのタイプの派手なものが付けられるようになったケースもある。特に第二次世界大戦後は士官用も含めてこのタイプが主流となり、現在に至っている。 このタイプは取り外すことが出来ないものがほとんどであり、洗濯の際階級章が支障となった。そこで、固着された肩章に通す筒状の階級章(アメリカ陸軍: Shoulder mark、アメリカ海軍: Shoulder board (soft))が生まれた。 コールドストリームガーズの連隊長代理と下馬正装のライフガーズ連隊員 アメリカ陸軍大将 M-65の前身といわれるM-43 サファリジャケット 日本の自衛隊の制服も、ほとんどこのタイプである。陸上・航空自衛隊の幹部は、冬服及び第1種夏服用の上着用を取り外し可能にしていることが多い。この場合、襟側はボタン、袖側はマジックテープにより固定されており、取り外すと2カ所のループ状の固定具があり、礼装用階級章はそこに金具を通すことで装着できるようになっている。また、陸上自衛隊の通常演奏服装用は刺繍を施した派手なもので、取り外し可能である。但し、装着方法は幹部用とは異なり、長い帯状の肩章を肩側に一カ所ある肩章通しの所で折って、両端を襟側のボタンで留めるようになっている。 筒状の着脱式階級章(自衛隊)は陸上・海上・航空自衛隊簡易制服と陸上・航空自衛隊の第2種及び第3種夏服、海上自衛隊の第2種夏服及び作業服に採用されている。 陸上自衛隊の通常演奏服装 筒状着脱式肩章(陸上自衛隊第3種夏服) 昭和期には日本海軍の士官特務士官准士官用の陸戦服および略衣(のち第三種軍装)にショルダーループが一時使用された。戦後の警察官の常装にはショルダーループが付き、礼装時にはショルダーノッチを着ける。 陸戦服 冬服の警察官 夏服の警察官
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