サラ・ネルソン編集主幹
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「パブリッシャーズ・ウィークリー」の記事における「サラ・ネルソン編集主幹」の解説
編集主幹は2005年1月24日付で交代、『ニューヨーク・ポスト』『ニューヨーク・オブザーバー』両紙のコラムで知られたサラ・ネルソン(英語版)というベテラン書評家を迎える。その履歴には『 グラマー』誌の上席編集人のほか、編集職として関わった女性誌『Self』、Inside.com、『Book Publishing Report』誌の名があがる。 ネルソンは本誌を時代に合わせて変革しようと新しい特集記事を導入し、挿画家でグラフィックデザイナーでもあるジャンクロード・スアレスを招く。色彩の追加(本の表紙写真に影を敷く)、ネルソンが総括を記し、ベストセラーリストにイラストを付け、著名な小説家が担当する長い書評欄の掲載を始める。またロゴを誌名の頭文字に縮めたことで、誌名を『PW』として定着させる道をつけた。 本誌が創設した「クイル賞(英語版)」(2005年-2007年)では書店主と図書館司書6千人を集め、選考委員会による19部門の候補作選定が始まる。受賞作の最終選考は一般読者の投票で決めるため、書籍小売チェーンのボーダーズの店頭または賞の公式サイトで最終候補に票を入れるようにした。2008年、同賞は廃止された。 表紙は新刊本の宣伝に使うという方針を2005年にゆるめると、新装なった表紙には記事面と関連付けたイラストや写真を採用し、それらの原典はしばしば、表紙袖の折りたたみ広告の裏に掲載されることがある。あるいは表紙に載せた同じ画像を、記事面に流用する場合もあった。 ネルソンが加わった時点から、堅い執筆をポップカルチャーへ移行する方向を探っている。本誌は書評分野でそれまで数十年、ほぼひとり勝ちだったはずが書籍出版業界の混乱拡大により、書評誌の老舗という地位は足元から揺らいでいた。ちょうどウェブサイトの記事、メール配信のニュースレター、あるいは日刊新聞の書評欄などが始まり、本誌は激しい競争に引き込まれていく。また出版業界の一極化につれ、本誌の顧客であった零細の独立系書店の多くが廃業、有償購読数は2000年代半ばに1割超の3千件を失い2万5千部に縮小していく。ネルソンは近代化、ウェブサイトの活用および市場分析への注力を実現しようと大幅な改革を提案し、書籍のイーコマース展開に対応しても購読層そのものが他の業種との商戦にさらされ、勢いに対抗しきれなかった。2005年に取材に応じたネルソンは以下のように述べた。 専門誌と一般誌、あるいは消費者向け雑誌の区別はますます曖昧(あいまい)になってきた(中略)。本誌購読者が掲載した書籍も買うとは限らない(中略)。しかしそれでも出版界の支持層として、ある一定数の〔一般市民〕書籍ファンがまだ健在であり、購読してもらえると考えている。誰でもよいから3人集まっていたら、話を聞いてみるとよい。そのうちの2人は作家志望か、本の構想を抱いているはずだ。私の知人は皆、何かしらの読書グループに参加している。世の中には書籍にもそれ以外にも関心のある、いわゆる境界をまたいだ読者層がいるのだから、書籍関連の業界関係者から取り付けた信頼を傷つけることなく、さらに新しい購読層を招き入れる努力を怠るわけにはいかない。
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