コンテナ化による貨物船の大型化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:16 UTC 版)
「コンテナ船」の記事における「コンテナ化による貨物船の大型化」の解説
貨物船は大型化によって運送効率が向上するが、定期貨物船は大型化によって荷役に何日も掛かるようになり効率が悪化するため、規模拡大に制限があった。1960年代では、油槽船が20万トンを越える大型船が登場するようになっても、定期貨物船は1万数千トンどまりであった。 コンテナの使用によって定期貨物船の荷役が迅速化されたため、定期貨物船も規模の経済を追求できるようになり、コンテナを多数搭載する超大型の貨物船が登場した。初期には従来型の定期貨物船の船倉や甲板にコンテナを並べるだけであったが、やがて、一般貨物の船倉とは別に、コンテナを並べる専用の区画を備えるセミ・コンテナ船が現れた。主要な港での荷役設備もコンテナ専用のガントリークレーンが備えられ、それに伴って一般貨物を扱わず、コンテナだけを専門に運搬するコンテナ船、フル・コンテナ船(フルコン船)が登場した。 船会社はコンテナ1個あたりの運送コストを減らして運賃を抑え競争に勝つために、荷役効率の限度内で極力多くのコンテナを積める大型船を導入しようとしている。1980年代以後、パナマ運河を通過できるサイズ(パナマックス)より大きなオーバー・パナマックス船が登場したが、その後も巨大化が進み、2000年代には水深16mのスエズ運河を通れるぎりぎりの大きさ(スエズマックス:これまではタンカーの大きさの限度だった)に近いコンテナ船も現れた。スエズマックスは、コンテナ積載数14,000 TEU、最大積載量137,000 DWT(載貨重量トン)、船の全長400m、幅50m、喫水15m以内、速度25.5ノットの時に出力は85MW以上という基準だが、2006年に進水した世界最大のコンテナ船エマ・マースクはこのスペックにほぼ達している。 21世紀初頭の現在では、港にガントリークレーンが複数備えられて、これら3~5基のクレーンが同時に1隻のコンテナ船への荷役に使用できるようになると、大型コンテナ船での荷役効率が飛躍的に向上し、10万トンに達するような大型フルコン船も登場した。コンテナ船は様々な貨物を運ぶ目的で建造され、その大きさは、貨物船の中では原油を輸送するための超大型タンカーに次ぐものとなっている。 21世紀初頭、フルコン船が大きくなり船腹が広がって搭載貨物コンテナが横22列のものが登場したが、港でコンテナ荷役を行うクレーンが未整備であるため港での制約が生まれている。2010年代後半には、20000TEU級のメガコンテナ船が登場。今治造船丸亀工場などでも建造されているが、2019年現在、日本に着岸できる港はなく海外航路で使われている。
※この「コンテナ化による貨物船の大型化」の解説は、「コンテナ船」の解説の一部です。
「コンテナ化による貨物船の大型化」を含む「コンテナ船」の記事については、「コンテナ船」の概要を参照ください。
- コンテナ化による貨物船の大型化のページへのリンク