ギリシャ空軍
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ギリシャ空軍 Ελληνική Πολεμική Αεροπορία |
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---|---|
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創設 | 1912年 |
国籍 | ![]() |
軍種 | 空軍 |
タイプ | 軍事航空 |
任務 | 航空戦闘 |
上級部隊 | ギリシャ軍 |
渾名 | HAF |
モットー | Αἰὲν Ὑψικρατεῖν 常に高みを支配する |
戦歴 | バルカン戦争 第一次世界大戦 希土戦争 第二次世界大戦 朝鮮戦争 トルコのキプロス侵攻 湾岸戦争 対テロ戦争 リビアへの軍事攻撃 |
識別 | |
国籍識別標 | ![]() |
フィンフラッシュ | ![]() |
使用作戦機 | |
電子戦機 | EMB-145H |
戦闘機 | F-4E F-16C/D/V ミラージュ2000-5 Mk.2 ラファールEG/DG |
汎用ヘリ | ベル 205 AS 332C1 |
偵察機 | ペガサス |
練習機 | T-6A T-41 T-2E |
輸送機 | C-27J C-130H |
ギリシャ空軍(ギリシャくうぐん、ギリシア語: Ελληνική Πολεμική Αεροπορία)は、ギリシャ軍を構成するギリシャの空軍組織である。ギリシャ国防省の管轄下に置かれている。
概要
設立期

ギリシャで最初の航空部隊は、フランスの支援のもと1911年に設立された。6 人のギリシャ軍人がフランスへ訓練に送られ、その後4機のファルマン機が発注された。
最初のギリシャ人飛行家となったエマヌエル・アルギュロポウロスは、1912年2月8日にニューポール IV.G戦闘機で最初の飛行に成功した。また、デメトリオス・カムベロス中尉は最初の軍事任務をこなした。カムゲロスはまた、6月にはファルマン水上機「ダエダロス」号に乗って水上離陸に成功し、海軍航空隊を発足させた。9月には、ギリシャ陸軍が最初の航空隊となる航空中隊(Λόχος Αεροπόρων)を発足させた。
実戦への参加
ギリシャ空軍は、バルカン戦争、第一次世界大戦、希土戦争、第二次世界大戦に参加した。また、度重なる内戦やクーデターでも一定の影響力を持った。
当初は陸軍航空隊と海軍航空隊は別個に存在していたが、1930年に航空省が発足するとその管轄下におかれる空軍に統合され、陸・海軍に続くギリシャ第3の軍隊となった。1931年には、空軍アカデミーであるイカロン学校が開校した。
戦間期における機材は、初期にはスパッド S.VIIのような第一次世界大戦期の航空機、中期以降はポーランド製のP.24やフランス製のMB.151、ドイツ製のDo 22などが運用された。
第二次世界大戦初期の1940年には侵攻したイタリア軍を首尾よく撃退したが、翌1941年4月にはナチス・ドイツ軍によってギリシャ空軍は壊滅した。空軍は中東方面でイギリス空軍の1飛行隊として再建され、スピットファイアやハリケーン、ボルティモアを運用した。
1944年にはイギリス軍が上陸し、ギリシャはドイツ軍を撃退した。しかし、ギリシャ国内は各派が争って混乱を極め、そのままギリシャ内戦に突入した。
戦後

1950年代、軍は再建と北大西洋条約機構(NATO)標準への再編成を行った。ギリシャ空軍は朝鮮戦争に参加し、1 部隊が輸送任務を行った。ギリシャは2001年までNATOの核戦力の一端を担ったが、核攻撃に際してはアメリカ合衆国より給与されるB61核爆弾をA-7 コルセア II若しくはF-104Gによって投下する予定であった。1980年代末まで、空軍はアメリカ合衆国より給与される核弾頭を装備できるナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルを運用した。
トルコとの間断なき緊張関係の末、1974年にはトルコ軍がキプロス島に侵攻した。キプロス紛争では、ギリシャ空軍機とトルコ空軍機との間で空中戦も発生した。アメリカ合衆国は核兵器をギリシャやトルコから撤去し、実戦に使用される不安を除去した。ギリシャはこれをNATOによるトルコ擁護策だとして批判し、1974年から1980年まで自国軍をNATO軍の指揮下から外す措置をとった。
その後、ギリシャはNATOとの関係を修復し、1981年には欧州共同体(EC)の10番目の加盟国となった。空軍ではF-4EファントムIIやミラージュ2000、C-130ハーキュリーズなどの新型機材の導入を進め、隣国の中でも能力の高い機材を保有する軍隊へと成長していった。最新の機材は、フランス製の戦闘機ミラージュ2000-5やアメリカ製のF-16Cブロック52+の他、2020年9月にはフランス・ダッソー製のラファール戦闘機を18機導入する計画を発表した[1]。また、F-4Eは「ピース・イカロス」計画のもと自国で近代化改修され、F-4E PI2000となった。防空ミサイルでは、9K331「トール」やS-300という旧東側製の機材も運用している。
なお、世界でも珍しく農業機部隊を保有している。発展途上国や(空軍ではないが)アメリカ麻薬取締局などでは麻薬対策として(除草剤を麻薬植物の畑に強行散布する)保有しているケースはあるが、ギリシャ空軍は専ら民生用に用いており、グラマン アグキャットやPZL M-18ドロマデルを装備している。
組織

管理組織
- ギリシャ国防軍参謀本部
- 空軍参謀
- 戦術空軍司令部
- 空軍訓練司令部
- 空軍支援司令部
- 空軍参謀
戦力
- ギリシャ空軍参謀
- 第251空軍総合病院
- 航空医学センター
- 最高空軍病院委員会
- 第251空軍総合病院
- 戦術訓練司令部
- ラリサ空軍作戦センター
- 第110戦闘航空団
- 第337全天候戦闘飛行隊
- 第348戦術偵察飛行隊
- 第111戦闘航空団
- 第330戦闘迎撃飛行隊
- 第341戦闘爆撃飛行隊
- 第347戦闘爆撃迎撃飛行隊
- 第114戦闘航空団
- 第331戦闘迎撃飛行隊
- 第332戦闘迎撃飛行隊
- 第115戦闘航空団
- 第340戦闘爆撃飛行隊
- 第343戦闘爆撃飛行隊
- 第116戦闘航空団
- 第335戦闘飛行隊
- 第336爆撃飛行隊
- 第117戦闘航空団
- 第338戦闘爆撃飛行隊
- 第339迎撃飛行隊
- レーダー部隊
- 第1空域管制センター
- 第2空域管制センター
- 第3空域管制センター
- 戦闘群
- 第126戦闘群
- 第130戦闘群
- 第131戦闘群
- 第132戦闘群
- 第133戦闘群
- 第134戦闘群
- 第135戦闘群
- 第138戦闘群
- 第350誘導ミサイル連隊
- 第21誘導ミサイル中隊
- 第22誘導ミサイル中隊
- 第23誘導ミサイル中隊
- 第24誘導ミサイル中隊
- 第25誘導ミサイル中隊
- 第26誘導ミサイル中隊
- 整備小隊
- 特別部隊
- 第380早期警戒飛行隊
- 航空作戦センター
- 戦術兵器学校
- 航空写真解析センター
- 第140電子戦中隊
- 第110戦闘航空団
- ラリサ空軍作戦センター
- 空軍支援司令部
- 第112戦闘航空団
- 第31特殊戦飛行隊
- 第353海洋偵察飛行隊
- 第352要人輸送飛行隊
- 救急ヘリコプター部隊
- 戦術輸送飛行隊
- 第354戦術輸送飛行隊
- 第355戦術輸送飛行隊
- 第356戦術輸送飛行隊
- 捜索救難飛行隊
- 第358戦術輸送飛行隊
- 第384捜索救難飛行隊
- 第113戦闘航空団
- 第383航空消火飛行隊
- 第129支援航空団
- 輸送飛行隊
- 補給飛行隊
- 第206空軍インフラ航空団
- 第201空軍補給処
- 第204弾薬補給処
- 石油配給部隊
- 第112戦闘航空団
- 空軍訓練司令部
- 空軍アカデミー
- 第360初等訓練飛行隊
- 第120訓練航空団
- 第361航空訓練飛行隊
- 第362航空訓練飛行隊
- 第363航空訓練飛行隊
- 第364航空訓練飛行隊
- 海上サバイバル訓練学校
- 第123戦術訓練航空団
- 防空要員訓練センター
- 第124基礎訓練連隊
- 第1士官訓練中隊
- 第2士官訓練中隊
- 第3士官訓練中隊
- 局地防衛訓練中隊
- 第124基礎訓練連隊
- 空軍幕僚大学
- 空軍戦術下士官アカデミー
- 空軍管理下士官アカデミー
- 空軍無線航空士アカデミー
- 第128情報航空電子機器訓練小隊
- 空軍アカデミー
階級
士官
- OF-9 大将 (Πτεραρχος)
- OF-8 中将 (Αντιπτεραρχος)
- OF-7 少将 (Υποπτεραρχος)
- OF-6 准将 (Ταξιαρχος)
- OF-5 大佐 (Σμηναρχος)
- OF-4 中佐 (Αντισμηναρχος)
- OF-3 少佐 (Επισμηναγος)
- OF-2 大尉 (Σμηναγος)
- OF-1 中尉 (Υποσμηναγος)
- OF-1 少尉 (Ανθυποσμηναγος)
准士官
- OR-9 准尉 (Ανθυπασπιστής)
下士官
- OR-8 上級曹長 (Αρχισμηνιας)
- OR-7 曹長 (Επισμηνιας)
- OR-6 軍曹 (Σμηνίας)
- OR-5 伍長 (Υποσμηνίας)
兵
- OR-4 無し
- OR-3 1等空兵 (Εφεδρος Σμηνιας)
- OR-2 無し
- OR-1 2等空兵 (Σμηνιτης)
装備
機種名 | 画像 | バージョン | 運用数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
戦闘機・攻撃機 | ||||
F-4[2] | ![]() |
F-4E[2] | 33[2] | |
F-16[2] | ![]() |
F-16C/D[2] | 154[2] | 1987年にブロック30型40機、1993年にブロック50型40機、1992年にブロック52型50機(後に10機を追加)、2005年にブロック52型21機を発注もしくは導入決定[3]。また、2018年に既存機85機をブロック70/72ヴァイパー仕様へ改修する契約を締結している。 F-16CG/DG ブロック30/50×69機、F-16CG/DG ブロック52+×55機、F-16C/D ブロック52+×20機、F-16V(C/D)×10機を運用中[2]。 |
ダッソー ミラージュ2000[2] | ![]() |
ミラージュ2000-5 Mk2[2] ミラージュ2000[2] |
24[2] (10)[2] |
1985年にBG/EG型40機の導入を決定、2000年には2000-5 Mk2型15機の新造と既存機10機の改修を発注した[4]。 ミラージュ2000-5EG Mk2 ×19機、ミラージュ2000-5BG Mk2×5機を運用中、ミラージュ2000EG×10機を保管中[2]。 |
ダッソー ラファール[2] | ![]() |
ラファールC/B F3-R[2] | 18[2] | 当初18機を発注し、後に6機を追加発注した[5]。2021年7月から受領開始[6]。ラファールC F3-R×14機、ラファールB F3-R×4機[2]。 |
早期警戒機 | ||||
EMB-145[2] | ![]() |
EMB-145H エリアイ[2] | 4[2] | |
輸送機 | ||||
C-27J[2] | ![]() |
8[2] | ||
C-130[2] | ![]() |
C-130B/H[2] | 15[2] | C-130B×5機、C-130H×10機[2]。 |
EMB-135[2] | ![]() |
EMB-135BJ/LR[2] | 2[2] | EMB-135BJ×1機、EMB-135LR×1機[2]。 |
ファルコン7X[2] | 1[2] | 要人輸送機[2]。 | ||
ガルフストリームV[2] | ![]() |
1[2] | ||
練習機 | ||||
M-346[2] | 2[2] | |||
Tecnam P2002[2] | ![]() |
P2002JF[2] | 12[2] | |
T-2[2] | ![]() |
T-2C/E[2] | 28[2] | |
T-6[2] | ![]() |
T-6A/B[2] | 28(推定)[2] | T-6A×13機(推定)、T-6B×15機(推定)[2]。 |
回転翼機 | ||||
AS332[2] | ![]() |
AS332C[2] | 12[2] | |
ベル205[2] | ![]() |
AB205A[2] | 12[2] | 捜索救難機[2]。 |
ベル212[2] | ![]() |
AB212[2] | 4[2] | 要人輸送機、輸送機[2]。 |
AW109[2] | 3[2] | |||
無人航空機 | ||||
ヘロン[2] | ヘロンI[2] | 2[2] | リース機[2]。 | |
HAI Pegasus[2] | ![]() |
PegasusII[2] | 2+(4)[2] | 2機を運用中、ほかに4機以上が保管中[2]。 |
地対空兵器 | ||||
パトリオット[2] | PAC-2[2] | 36[2] | ||
S-300[2] | S-300PMU-1[2] | 12[2] | ||
クロタル[2] | クロタルNG/GR[2] | 9[2] | ||
9K331[2] | 9K331 トールM1[2] | 4[2] | ||
スパロー[2] | RIM-7M[2] | 20[2] | スカイガードシステムと連接[2]。 | |
ラインメタル Rh202[2] | 複数[2] | |||
Artemis-30[2] | ![]() |
35以上[2] | ||
エリコン GDF[2] | GDF-005[2] | 24[2] | ||
搭載兵装 | ||||
AIM-9[2] | AIM-9L/P[2] | |||
R.550 マジック[2] | マジック2[2] | |||
IRIS-T[2] | ||||
MICA[2] | MICA-IR[2] MICA-RF[2] |
|||
AMRAAM[2] | AIM-120B/C[2] | |||
ミーティア[2] | ||||
AGM-65[2] | AGM-65A/B/G[2] | |||
SCALP-EG[2] | ||||
エグゾセ[2] | AM39[2] | |||
AGM-88[2] | ||||
GBU-8[2] | GBU-8B HOBOS[2] | |||
ペイブウェイ[2] | GBU-10/12/16 ペイブウェイII[2] GBU-24 ペイブウェイIII[2] GBU-50 エンハンスド・ペイブウェイII[2] |
|||
JDAM[2] | GBU-31 JDAM[2] | |||
AGM-154[2] | AGM-154C JSOW[2] |
ギャラリー
-
アンリ・ファルマン「ダエダロス」複葉機
-
P.24戦闘爆撃機
-
C-47ダコタ輸送機
-
C-130ハーキュリーズ輸送機
-
CL-215消防飛行艇
-
T-2Eバックアイ練習機
-
F-104Gスターファイター戦闘機
-
F-4EファントムII戦闘機
-
F-16Dファイティングファルコン戦闘機
-
ミラージュ2000EG戦闘機
-
YS-11 (1993)
脚注
出典
- ^ “ギリシャ フランス製ラファール戦闘機の調達を決定 既存のミラージュ戦闘機の近代化も”. 乗りものニュース. 2021年1月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs bt bu bv bw bx by bz ca cb cc cd ce cf cg ch ci cj ck cl cm cn co cp cq cr cs ct cu cv cw cx cy cz da db dc dd de df dg dh di dj dk dl dm dn The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. pp. 101-102. ISBN 978-1-032-78004-7
- ^ 青木謙知『世界の名機シリーズ F-16ファイティングファルコン<最新版>』イカロス出版、2018年12月28日、81-82頁。 ISBN 9784802206266。
- ^ 嶋田久典『世界の名機シリーズ ミラージュ2000』イカロス出版、2011年4月11日、58頁。 ISBN 9784863203686。
- ^ Gareth Jennings (2022年3月25日). “Greece signs for additional Rafales”. janes.com. 2025年4月5日閲覧。
- ^ Alessandra Giovanzanti (2021年7月22日). “Greece receives first Rafale combat aircraft”. janes.com. 2025年4月5日閲覧。
外部リンク
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