トルコ空軍とは? わかりやすく解説

トルコ空軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 00:26 UTC 版)

トルコ空軍
Türk Hava Kuvvetleri
創設 1911年
国籍 トルコ
軍種 空軍
タイプ 軍事航空
任務 航空戦闘
上級部隊 トルコ軍
基地 アンカラ
戦歴 トルコ革命
デルシムの反乱英語版
朝鮮戦争
トルコのキプロス侵攻
トルコ・クルド紛争
デリバリット・フォース作戦
ノーザン・ウォッチ作戦
アライド・フォース作戦
不朽の自由作戦
ユーフラテスの盾作戦英語版
オリーブの枝作戦英語版
トルコのリビア派兵英語版
春の盾作戦英語版
指揮
司令官 ジヤ・ジェマル・カドゥオール大将
識別
国籍識別標
フィンフラッシュ
使用作戦機
攻撃機 バイラクタル アクンジュ
アクスングル英語版
電子戦機 C-160T
CN-235M-100
戦闘機 F-4E-2020
F-16C/D][1]
汎用ヘリ UH-1H
AS 532UL/AL
T-70[1]
偵察機 ヘロン
アンカ
練習機 SF.260D
KT-1T
T-38M[1]
NF-5A/B英語版
輸送機 CN235M-100
C-130B/E
A400M[1]
給油機 KC-135R[1]
テンプレートを表示

トルコ空軍(トルコくうぐん、トルコ語: Türk Hava Kuvvetleri)は、トルコ共和国トルコ軍に属する空軍組織である。2024年時点で600機以上の作戦機を保有しており、ヨーロッパ近隣ではドイツ空軍フランス空軍に次ぐ、世界で17番目の空軍力を有する[1]

概要

第二次世界大戦後、西アジアアナトリア半島)とヨーロッパトラキア)に領土を持つトルコ共和国は比較的早い時期からの北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり、東西冷戦ソビエト連邦と対峙する最前線に置かれた国家として、集団的自衛権を基本とする安全保障体制を整備してきた。

実戦も度々経験している。キプロス島のトルコ系住民を保護するため、1970年代にキプロス紛争に介入してキプロス島への空襲や兵員空輸を行った[2]。2010年代にはイラク戦争シリア内戦で支配地域を拡大するクルド人の勢力を削ぐためイラクシリアへの越境爆撃を実施した[3]

現在、トルコ空軍の固定翼戦力は、防空戦力の主力として1987年から2012年に導入したF-16 ファイティングファルコンC/D戦闘機270機とF-4ファントムII E/E 2020戦闘機×174機を、日々のスクランブル発進に使用している。後継機として2002年から統合打撃戦闘機計画(JSF計画)に参加し、トルコ航空宇宙産業(TAI)でのコンポーネントの開発製造を実施するF-35Aを100機導入する予定で、2019年時点で14機が訓練中だった。しかし、トルコがMIN-14地対空ミサイルの後継にロシア製のS-400を導入したため、アメリカはF-35Aのトルコへの輸出を凍結。最終的に調達は中止された。代わって、F-16Vブロック70を導入(新規購入40機と既存のF-16の改良79機)するほか、TAIが開発中のTFX「KAAN」の導入計画を進めている[1]

輸送機戦力としては、2024年時点で小型輸送機CN235 41機に加え、中型戦術輸送機C-130 ハーキュリーズB/E 17機、C-160T 16機 、A400M アトラス輸送機 10機、KC-135R空中給油機 7機を保有している。早期警戒管制機としてE-7AEW&Cを4機保有するほか、CN235の洋上哨戒機型と電子偵察機型、を各1機保有する。ヘリコプター(回転翼機)は、輸送用のAS532 21機とUH-1H 57機に加え、TAIでライセンス生産されたT-70を調達中である。なお、戦闘ヘリコプターであるT-129トルコ陸軍に配備されている[1]

また無人戦闘攻撃機バイラクタル TB2を100機以上配備しており、搭載される空対地ミサイルUMTASや精密誘導爆弾MAM英語版等対地攻撃用ミサイル等も多数装備する。

その他、東西に長い国土を防衛するための防空レーダー地対空ミサイルを備えている。

基地

F-16を有する飛行隊11個が駐屯する基地が9ヶ所あるほか、給油機部隊がアメリカ空軍との共用基地であるインジルリク空軍基地に駐屯する。

装備

2024年時点[1]

戦闘機

  • F-16C/D - 243機。うち211機を仕様を統一する改修を実施し、残りの機体は訓練に運用。79機をF-16Vブロック70に改良する予定
  • F-4E 2020 - 48機

偵察機

電子戦機

早期警戒管制機

空中給油機

輸送機

練習機

  • F-5F
  • T-38M - 68機
  • ヒュルクシュ英語版トルコ語版 - 1機(さらに54機を調達予定)。TAI製の国産機
  • KT-1T - 39機(さらに16機を調達予定)
  • SF-260D - 35機
  • MFI-395スーパームシュシャク - 4機(さらに48機を調達予定)

回転翼機

  • AS 532 - 21機
  • UH-1H - 57機
  • T-70 - 1機(さらに19機を調達予定)

無人航空機

地対空ミサイル

tr:Türk Hava Kuvvetleri envanteriより転記

導入予定機

  • F-16Vブロック70 - 40機を新規に購入する予定
  • TFX「KAAN」

飛行隊

  • 第101飛行隊(KC-135R)
  • 第111飛行隊 (F-4)
  • 第112飛行隊(F-4)
  • 第113飛行隊(RF-4)
  • 第121飛行隊(T-38)
  • 第122飛行隊(KT-1T)
  • 第123飛行隊(SF-260D)
  • 第124飛行隊
  • 第125飛行隊(CN-235,UH-1)
  • 第131飛行隊(737 AEW&C)
  • 第132飛行隊(F-16)
  • 第134飛行隊
  • 第141飛行隊(F-16)
  • 第142飛行隊(F-16)
  • 第143飛行隊(F-16)
  • 第151飛行隊(F-16)
  • 第152飛行隊(F-16)
  • 第161飛行隊(F-16)
  • 第162飛行隊(F-16)
  • 第171飛行隊(F-4)
  • 第173飛行隊(F-4)
  • 第181飛行隊(F-16)
  • 第182飛行隊(F-16)
  • 第191飛行隊(F-16)
  • 第192飛行隊(F-16)

教育機関

イスタンブール近郊のアタテュルク国際空港に併設されたトルコ空軍士官学校英語版トルコ語版で、T-41Dによる初等飛行訓練が行われている。T-41Dは、パキスタン製のMFI-17ムシュシャク英語版の改良型MFI-395スーパームシュシャクへの代替が進んでいる。ヘリコプターの飛行訓練は、UH-1Hで行われている[1]

イズミルガジェミール空軍基地には、KT-1Tで編成された第122基本飛行隊とT-38Mで編成された第121高等飛行隊が駐屯する[1]。高等教育は、2016年トルコクーデター未遂事件以降に新編されたトルコ国立軍事大学英語版トルコ語版で行われる。

曲技飛行隊

ケチケメート空軍基地ハンガリー)で展示飛行を行うトゥルク・イルディズラーリ(2010年8月7日)

曲技飛行隊として、1992年11月7日に編成されたトゥルク・イルディズラーリ英語版トルコ語版(英語名:ターキッシュ・スターズ、Turkish Stars)がある。コンヤコンヤ飛行場英語版トルコ語版に駐屯し、創設以来、NF-5A/Bで編成されている。

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 石川潤一「NATOにおけるトルコ航空部隊の現状」『航空ファン』通巻857号(2024年5月号)文林堂 P.50-59
  2. ^ 大島直政『複合民族国家キプロスの悲劇』(新潮選書)。
  3. ^ トルコ軍、イラクとシリアで越境空爆「テロ準備」主張 朝日新聞デジタル(2017年4月25日)2019年6月20日閲覧。
  4. ^ Gareth Jennings (2025年5月29日). “Türkiye prepares for C-130J airlifters”. janes.com. 2025年5月30日閲覧。
  5. ^ トルコ進む武器国産化/無人機・攻撃ヘリ・長距離砲・電子戦システムなど…自給率7割に/きっかけは米国禁輸の衝撃/西側依存避けロシアに接近”. 朝日新聞 (2019年6月20日). 2019年6月20日閲覧。

関連項目


トルコ空軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:48 UTC 版)

ボーイング737 AEW&C」の記事における「トルコ空軍」の解説

2005年に4機が発注されトルコ向け1号機シアトルボーイング工場製造され2007年9月には飛行試験完了した。2~4号機トルコアンカラにあるトルコ航空宇宙産業 (TAI) が組立試験担当し2号機及び3号機2008年6月製造完了し2008年後半より各種テストが行われた。しかし2010年イスラエルトルコの関係から搭載予定していたエルタ社のシステム搭載できなくなり作業停滞した。これは、アメリカ圧力により2013年再開され2014年2月21日最初機体受領され2015年までに全4機を受領し運用中愛称Peace Eagleピース・イーグル)。

※この「トルコ空軍」の解説は、「ボーイング737 AEW&C」の解説の一部です。
「トルコ空軍」を含む「ボーイング737 AEW&C」の記事については、「ボーイング737 AEW&C」の概要を参照ください。

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