キルシャップの発明とシャプロンマジックとは? わかりやすく解説

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キルシャップの発明とシャプロンマジック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 06:26 UTC 版)

アンドレ・シャプロン」の記事における「キルシャップの発明とシャプロンマジック」の解説

大学時代教官相談した結果、そのつてを頼って1925年1月パリ・オルレアン鉄道 (PO) へ転職することができた。ここでは調査・研究部門配属され蒸気機関車排気方式改良を主に担当することになった蒸気機関車では、シリンダー蒸気膨張させてピストン駆動して動力得た後、まだ圧力残っている蒸気煙室内に吹き出させることでドラフト作用起こしボイラーからの燃焼ガス煙突通じて押し出して代わりに新鮮な空気火室入ってくることを助け仕組みになっている。完全に蒸気膨張力をシリンダー使ってしまうとドラフト作用弱くなりボイラー火力を落とすが、ドラフト側に余分に圧力を使うとシリンダー出力弱くなってしまう。その兼ね合いをうまく設計すると共にドラフト部分装置工夫することで機関車全体効率改善することができる。 1919年フィンランド技術者キララ開発したキララスプレッダーは、ブラストノズルからの蒸気流を4つ分割して吹き出させて、うまく燃焼ガス蒸気絡ませ効率よく排気することができる。右の図の黄色部品がキララスプレッダーで、円錐状の4つ部品蒸気流を4つ分けている。シャプロンは、これにさらに煙突下側ペチコート呼ばれる円筒状の部品取り付けることで、キララスプレッダーの下側のブラストノズルとの間、キララスプレッダーとペチコートの間、ペチコート煙突の間の3段から燃焼ガス吸い込んで排気促進する改良加えた。これをキララシャプロンの名前を合わせて「キルシャップ」(Kylchap) と呼ぶ。 また、火力発電所蒸気タービン式の船の場合は、高い煙突利用して煙突効果による排気期待できるが、蒸気機関車場合車両限界阻まれ煙突高くするのは限界がある。ベルギー技術者リゲイン1925年に、2本に煙突増やす方法考えた面積を2倍に増やすと高さを 1 2 {\displaystyle {\dfrac {1}{\sqrt {2}}}} に抑えることができる。シャプロンもこの考え取り入れて、キルシャップを2つ縦に並べ構造考えた。これをダブルキルシャップという。 パリ・オルレアン鉄道1909年車軸配置4-6-23500蒸気機関車中でも特に調子悪かったNo.3566を対象に、これらの改造施行してみることになったシャプロンこの他に、ボイラーからシリンダーまでの蒸気流路(スチームサーキット)の断面積拡大しパイプ曲がり緩くして、絞り効果(ワイヤードローイング)による蒸気圧力の損失軽減することにした。また、複式機関車では高圧シリンダー消費した蒸気低圧シリンダー送って再利用しているが、温度が下がりすぎて低圧シリンダー内で一部蒸気凝縮してしまっていた。このため高圧シリンダーに送る蒸気温度をさらに高めることにした。他に給水暖め器を取り付けたりアメリカで開発されニコルソン形サーミックサイホンを取り付けたりした。やはりシャプロン構想対す上層部理解薄かったことから、これらの改造には3年掛かり完成1929年となった。 本来の出力は1,850馬力であるこの機関車は、シャプロン理論計算によればスチームサーキットの改善により20パーセント加熱温度の上昇により10パーセント、キルシャップの採用により25パーセント出力上昇期待でき、トータルシリンダー出力3,000馬力超を見込んでいた。1929年11月29日試運転が行われ、予定通り3,000馬力超える出力確認した。また石炭消費通常時75パーセント減少した各地試運転繰り返され大幅な時間短縮燃料節約確認された。こうしたことから、パリ・オルレアン鉄道では従来型蒸気機関車次々シャプロン方式改造されることになったこうした改造をシャプロンリビルドと呼ぶ。また劇的な効果から「シャプロンマジック」とも呼ばれた。シャプロンリビルドの機関車で、パリ - ボルドー間はそれまでより1時間以上短縮されて5時間50となった

※この「キルシャップの発明とシャプロンマジック」の解説は、「アンドレ・シャプロン」の解説の一部です。
「キルシャップの発明とシャプロンマジック」を含む「アンドレ・シャプロン」の記事については、「アンドレ・シャプロン」の概要を参照ください。

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