キスミレとは? わかりやすく解説

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キスミレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 21:56 UTC 版)

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キスミレ
キスミレ、弓張山地愛知県豊橋市)、2013年3月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: キスミレ V. orientalis
学名
Viola orientalis (Maxim.) W.Becker[1]
シノニム

Viola xanthopetala Nakai[2]

和名
キスミレ
品種
  • Viola orientalis (Maxim.) W.Becker f. laciniata (Taken.) F.Maek. ノコギリバキスミレ[3]

キスミレ(黄菫、学名Viola orientalis (Maxim.) W.Becker}[1])は、スミレ科スミレ属分類される小形の多年草の1[4][5]。別名、イチゲスミレ[5]・イチゲキスミレ[1][4]。中国名、東方菫菜[6]

特徴

は細く、草の高さは10-15 cm[4]。茎やに細かな毛があるか、または葉を除きほとんど無毛[5]地下茎はふつう直立し、は太くて長く多数[5]根生葉は少数で葉柄は長い[4]葉身は心形で長さ2.5-4 cmで、波状の鋸歯がある[4]茎の上部に3-4枚の茎葉がつき、質は厚く、両面に毛がある[4]。茎の上方の2葉は互いに接近し葉柄は短く、下方の1葉は少し隔たってつき、やや長い葉柄がある[5]托葉は離生し、卵形で長さ2-3 mm[5]直径1.5-2 cm、花弁は長さ12-15 mm、黄色で丸みがある[4]。上弁の裏面は紫褐色、側弁には毛があり[4]唇弁と側弁に褐色の条があり、は極めて短い[5]花柄は茎上の葉に腋生し、長さ2-4 mm、小さながつく[5]片は披針形で、耳がやや目立つ[5]。花期は4-5月で[4][5]。春先に他の植物に先立って、開花、展葉し、夏期には地上から姿を消し、地下で休眠に入る多年生植物で、スプリング・エフェメラル(春植物)の生活環をもつ[7]

分布と生育環境

日当たりのよい山地草地に生育するキスミレ

大陸系のスミレで、ロシアウスリー中国山東半島、東北部)、朝鮮半島日本に分布する。満鮮要素の植物と呼ばれ、ウルム氷期にアジア大陸から朝鮮半島経由で日本に侵入し、後氷期には西日本の山地の草原を中心に限られた環境下に遺存したと考えられている[8]

日本では本州東海地方以西)、四国九州に点在して稀に分布する[5]静岡県が東限[9]富士山高草山[4]由布岳鶴見岳九重山阿蘇山周辺、霧島山などに分布する[10]

日当たりのよい山地草地に生育する[4]。おもにススキササ類の卓越する草原に生育する[8]黒ボク土褐色森林土、赤黄色土などの土壌に生育する[10]

種の保全状況評価

日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている。環境省による第2次レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)の指定を受けていたが、その後除外された[11]阿蘇くじゅう国立公園[12]や「富士宮市自然環境の保全及び育成に関する条例」などにより、特定希少野生動植物の指定を受けていて、採取したり損傷することが禁止されている[9]大分県では、野焼きを中止した自生地で絶滅した事例が報告されている[7]

黄色の花のスミレ

黄色の花を付けるスミレが多数知られていて、その主な種を以下に示す[23][24]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “キスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2018年4月23日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “キスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2018年4月23日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ノコギリバキスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2018年4月23日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 林 (2009)、352頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k 佐竹 (1982)、252-253頁
  6. ^ Viola orientalis” (英語). eFloras. 2018年4月24日閲覧。
  7. ^ a b 近藤 (2006)、358頁
  8. ^ a b 近藤 (2006)、355頁
  9. ^ a b 特定希少野生動植物”. 富士宮市. 2018年4月23日閲覧。
  10. ^ a b 近藤 (2006)、356頁
  11. ^ レッドリスト”. 環境省. 2018年4月23日閲覧。
  12. ^ a b レッドデータブックおおいた、キスミレ”. 大分県. 2018年4月23日閲覧。
  13. ^ 山梨県 レッドデータブックの改訂 (平成30年3月公開)”. 山梨県. 2018年4月23日閲覧。
  14. ^ 第3次レッドリストあいち2015 (PDF)”. 愛知県. pp. 4. 2018年4月23日閲覧。
  15. ^ レッドリストあいち、キスミレ (PDF)”. 愛知県. pp. 99. 2018年4月23日閲覧。
  16. ^ 宮崎県版レッドリスト及びレッドデータブックについて”. 宮崎県 (2018年4月17日). 2018年4月23日閲覧。
  17. ^ レッドデータブックひろしま 2011 (PDF)”. 広島県. pp. 1. 2018年4月23日閲覧。
  18. ^ 植物絶滅危惧Ⅰ類(603種)(平成27年度改訂)”. 鹿児島県 (2016年4月27日). 2018年4月23日閲覧。
  19. ^ 愛媛県レッドデータブック2014、キスミレ”. 愛媛県. 2018年4月23日閲覧。
  20. ^ <アイウエオ順>高知県レッドリスト(植物編)2010改訂版 (PDF)”. 高知県. pp. 37. 2018年4月23日閲覧。
  21. ^ 静岡県版レッドリスト2017、レッドリスト植物 (PDF)”. 静岡県. pp. 6. 2018年4月22日閲覧。
  22. ^ 熊本県の保護上重要な野生動植物リスト−レッドリスト2014−、リスト 維管束植物 (PDF)”. 熊本県. pp. 15. 2018年4月23日閲覧。
  23. ^ 林 (2009)、352-356頁
  24. ^ 清水 (2014)、179-186頁

参考文献

関連項目

外部リンク


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