ガリ版伝承館とは? わかりやすく解説

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ガリ版伝承館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/31 05:09 UTC 版)

ガリ版伝承館
ガリ版伝承館
施設情報
専門分野 郷土歴史館
管理運営 東近江市
(蒲生コミュニティセンター所管)
開館 1998年(平成10年)4月
所在地 529-1521
滋賀県東近江市蒲生岡本町663番地
位置 北緯35度2分22.2秒 東経136度11分43秒 / 北緯35.039500度 東経136.19528度 / 35.039500; 136.19528座標: 北緯35度2分22.2秒 東経136度11分43秒 / 北緯35.039500度 東経136.19528度 / 35.039500; 136.19528
アクセス JR東海道本線琵琶湖線近江八幡駅南口から近江鉄道バス日八線「ガリ版伝承館」バス停下車
名神高速道路竜王インターチェンジから国道477号約20分
国道8号六枚橋交差点から約20分
外部リンク http://www.city.higashiomi.shiga.jp/0000000117.html
プロジェクト:GLAM
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東近江市立ガリ版伝承館(ひがしおうみしりつガリばんでんしょうかん)は、滋賀県東近江市にある謄写版(ガリ版)印刷を伝承する施設である。米国で発明され商品化された謄写版技術を日本に初めて持ち込んだ堀井新治郎父子の本家を修復して、1998年平成10年)4月に開館した。

概要

1880年代末から1970年代にかけて、軽印刷の代表的な技法として世界的に広く用いられた謄写版(ミメオグラフ)をテーマとした博物館で、その技術史と伝承に絞った公設の博物館としては国内唯一の存在である[1]。堀井新治郎と彼が創業した旧・堀井謄写堂株式会社(のちホリイ株式会社、2002年倒産)が、パリ条約未加盟時代に日本国内で取得した特許を根拠にかつて国内で主張していた「1894年(明治27年)に堀井新治郎らが発明した」という「謄写版日本起源説」を現在も主張している[2]

施設は1989年(平成元年)に当時の蒲生町が、高齢者向け交流施設への転用を念頭に[3]、放置状態となっていた木造瓦葺き平屋建ての居宅、2階建て洋館、土蔵など堀井家のかつての本家(延べ敷地面積642.9平方メートル)の寄付を堀井新治郎の3代目にあたる事務用品販売会社・ホリイ株式会社の社長(当時)に申し入れ[3]、翌1990年(平成2年)に譲受したものを[3]町が改修整備したものである。

現存する家屋類は、1894年(明治27年)に東京・神田で謄写版印刷資器材製造販売店「謄写堂」を創業し財を成した堀井新治郎らが、明治末期から昭和初期にかけて出身地に建築したもので[3]1970年代までは管理されていたが、のち空き家となって放置されていた[3]

蒲生町は譲受後、まず洋館(1909年築、延べ床面積102平方メートル)から修復し、町立の「ガリ版伝承館」として1998年(平成10年)4月に開館[4]。同年12月11日には洋館が国の登録有形文化財に登録された[4]。のちに、洋館に隣接する旧居宅についても修復が行われ、各種展示を見学することができる。

施設

旧蒲生町時代は町が「ガリ版伝承員」を育成し、伝承館を拠点にイベントや啓発活動を行っていた。東近江市合併後は、東近江市立蒲生コミュニティセンターが施設の管理運営を所管しており、伝承館に事務局を置く市民団体「新ガリ版ネットワーク」が主体となった「ガリ版祭り」が毎年11月に開催されている[5]ほか、同ネットワークによる企画展なども随時開かれている[5]

施設は旧居宅と、渡り廊下でつながる洋館の2階が展示室となっている。旧居宅では旧・ホリイ株式会社(2002年倒産)から譲受した「謄写堂」時代の店舗看板や、新治郎父子および堀井謄写堂を中心とした国内における謄写版の歴史を、史料やパネルで展示紹介している。洋館2階では謄写堂が製造販売した初代の「ミリアグラフ」(1894年発売開始)を「ガリ版1号機」として展示しているほか、新治郎が倣った謄写版印刷の元祖で世界的に普及した米A・Bディック社製謄写版印刷セット「ミメオグラフ」(1887年発売開始)など、明治以降の謄写版器材や印刷物などの史料を展示している。

また敷地内には2015年、新ガリ版ネットワークの手で木造の「ガリ版ホール」が新築され、伝承館開館日に合わせてカフェを開いているほか、ワークショップやイベント会場として使用している。

開館は年末年始を除く土・日曜日の午前10時から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)で、見学は無料。「ガリ版体験」は事前予約が必要で、体験料ははがき判(5枚)、名刺判(10枚)が各300円、トートバッグ(1枚)が1000円である[6]

アクセス

脚注

  1. ^ 謄写版をテーマとする博物館としてはほかに、かつての用品メーカーによる大東化工謄写技術資料館(岐阜市)、印刷会社による山形謄写印刷資料館(山形市)と、孔版画家の作品やコレクションを展示する公設の南部町祐生出会いの館(鳥取県南部町)がある。
  2. ^ 鉄筆とヤスリ盤を用いてワックス原紙を製版しスクリーンを装着した謄写器で印刷する謄写版印刷技法は、新治郎の「発明」より14年前の1880年2月までに米国のトーマス・エジソンが考案して米国特許(第180857号、第224665号)を取得していたもので、最初の実用化商品も1884年に同特許に適した原紙を開発した事務用品販社、A・B・ディック社(米シカゴ市)がエジソンと正規のライセンス契約を結んで1887年から販売を開始し、1892年には既に累計出荷台数が8万台を超えていた「ミメオグラフ」(Mimeograph)である。
  3. ^ a b c d e 「謄写版の歴史を後世に 蒲生 堀井家の旧本宅と敷地を寄付へ 町の申し入れ快諾 近く活用策など話し合い」『中日新聞』滋賀版、1990年3月15日付朝刊16面、中日新聞社。
  4. ^ a b 「近江八幡ユース・ホステルなど4カ所を文化財登録/滋賀」『毎日新聞』滋賀版、1998年11月11日付22面、毎日新聞社。
  5. ^ a b 新ガリ版ネットワーク公式サイト
  6. ^ 「ガリ版体験について」 新ガリ版ネットワーク公式サイト、新ガリ版ネットワーク事務局

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