エレールとは? わかりやすく解説

エレール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/26 01:05 UTC 版)

エレール (Heller、現在の正式名称はHeller Hobby GmbH ) はかつてフランスにあった独立したプラスチック模型メーカーであり、現在はドイツのプラスチック模型製造・販売会社Glow2B傘下の模型ブランドである。ドイツの木製玩具メーカーのヘラー (JAN HELLER e.K. ) とのかかわりは無い。

概要

エレールは、ポリスチレンをフランスで最初に使用したプラモデルメーカーであり、飛行機艦船などのプラモデルを主に生産・販売している。会社は1957年パリにて創業され、その後は幾多の変遷を経て、現在はドイツのGlow2Bに買収され新会社となっているが、製品の生産は現在もフランス国内の工場で続けられている。日本では1970年代にはトミーから、1980年代にはツクダ、今井、次いでグンゼから発売されていたことがあった。日本語ではエレールと呼称されるが、年輩者の中にはヘラーと英語読みする者もいる。

歴史

1957年パリにてレオ・ジャイエル (Léo Jahiel ) によってエレールSA (Heller S.A. ) が設立された。最初の製品は1/100スケールシュド・カラベルであった。1963年にはオルヌ県Trunに設置された工場での製造が開始された。

1975年Jouef、ソリドと共に「Le Jouet Français 」となったが、1981年に破綻し、アメリカの食品メーカーであるボーデン傘下のハンブロールグループに入った。1986年には競合する模型メーカーのエアフィックスもこのグループに加わり、エアフィックスの製品はエレールのTrun工場で製造されるようになった。1988年、パリの拠点を全て閉鎖しTrunへ移った。1994年、エレールはグループの他の企業と共にアイルランドの投資会社である Allen & McGuire に3100万フランスフランで売却された。

1999年、エレールは玩具メーカーのジュストラ (Joustra ) を買収した。2005年マネジメント・バイアウトでグループを離脱したが2006年7月に倒産した。エレールの工場でエアフィックス製品を製造していた関係で、エアフィックスが経営危機に陥り、またハンブロールグループ全体も経営危機に陥り、ハンブロールは2006年11月にホーンビィに買収された。

エレールは2007年1月に宝飾品販売店であるMANOP (MANufacture d'Objet Précieux ) の傘下に入り、エレール・ジュストラ株式会社 (Heller - Joustra S.A ) となった。しかし2016年にまたも倒産、文具メーカーであるMapedのグループに買収されるがやはり事業が立ち行かず、2019年ドイツでかねてよりエレール・ジュストラの販売代理店を務めていたプラスチック模型製造・販売会社Glow2Bに買収され、フランスおよびドイツで事業を継続している。

製品

初期に発売された航空機のキットは1/100、1/75、1/50といったメートル法スケールのものが主であったが、1960年代の半ばにヤード・ポンド法に基づくスケールの1/721/48を採用し、以降はこれが中心となった。ただし、旅客機のみは多くのメーカーが採用している1/144より一回り大きい1/125を現在でも採用している。艦船のキットも、他社より大きめの1/400が主力となっている。戦闘車両のキットでは、1970年代の半ばより1/72と1/35で発売している。エアフィックスと同一のグループになってからは金型の交流も活発に行われて、相当数のエアフィックスのキットがエレールのブランドで発売され、数は少ないものの逆のケースもあった。また、両社で共同で新キットを開発し、若干仕様の違うキットを両社でほぼ同時に発売するケースもあった。

現在展開されているのは、従来から発売されている「Classique」、初心者向けに塗料や接着剤が入った「Kit」、ウレタン樹脂製パーツやエッチングパーツが入った「Upgrade」の3種である。

航空機

1960年代に開発された初期の1/72キットは、品質よりも機種選択自体に価値があった。機体に大きなリベットが打たれ、キャノピーは厚く、コクピットや脚収納部のディーテールも無かったが、ブロックポテの双発機、ウーラガンや初期のミステール、初期のサーブの戦闘機、そしてノラトラトランザールなどのフランスの大型輸送機といった、他のメーカーでは模型化されていない機体が作られていた。1970年代に入り製品数が増えるとともに、品質も向上していった。その中には、PZL.23やSBC ヘルダイバー(複葉機)などがある。

アメリカやイギリスの機体に関しては、ムスタングスピットファイアヘルキャットコルセアクルセイダーハリケーンセイバーBf109零戦などの有名機も1970年代以降多数模型化している。特にスピットファイアとBf109は当時としては珍しく、同時期に複数のタイプを模型化しており、他社には見られないマイナーなタイプも作られていた。また1980年代末以降、F-14F-15などの現用機を中心とした、エアフィックス製キットを自社ブランドで発売している。

1980年代には、ボーイング707コンステレーションDC-6のような4発の大型旅客機や、消防用飛行艇カナディア CL-215などを1/72スケールで模型化している。

初期の1/50スケールのヘリコプターは、フルロンピューマアルエットガゼルラマなどユニークなものが多い。

軍用車両

1975年より1/35スケールの戦車、軍用車両を発売し、1/35スケールの充実に貢献している。車種的にはドイツのレオパルトシリーズを除けば自国で使われた車両が中心であり、現用のAMX-13AMX-30シリーズ、パナール装甲車、第二次世界大戦時のソミュア S35オチキス H35ルノー R35などが作られている。フランスのオチキス社でライセンス生産された仕様のMBジープや、アメリカから貸与された2.5tトラック、各種のドイツ兵やフランス兵、アルペン猟兵、セネガル狙撃兵などのフィギュアも模型化されている。また、1970年代半ばに大型ヘリコプターのシュペル・フルロンを1/35で模型化しているが、これは軍用車両にスケールを合わせて開発された最も初期の航空機キットの一つである。

艦船

軍艦は1/400スケールが主で、フランス艦を中心に、イギリスやドイツの主力艦も模型化されている。一部のフランスの小型艦艇には1/200や1/100スケールで模型化されているものもある。大型の帆船モデルも作られており、1/100スケールのHMS ヴィクトリーや、ソレイユ・ロワイヤルなどがその代表である。

自動車

自動車モデルにおいても、シトロエン、プジョー、ルノーなどのフランス車が多く模型化されている。前輪駆動シトロエン・トラクシオン・アバンシリーズから15CVを大スケールの1/8、シトロエンDS19を1/16で模型化している。また、1/24スケールのシリーズには、ドライエ、ドラージュ、ブガッティベントレーブロワーなど、他社からの模型化の望めない黄金期のヨーロッパ車の精巧なキットが含まれている。70年代初期には、1/24のF1・スポーツプロト車を、多数発売。エンジンやフレームまで再現された精密かつ意欲的なものであったが、スライド金型を使用していない為、非常に作り難いモノであった。80年代初期には、1/12でリジェとルノーのF1を発売。ルノーは田宮・プロターとバッティングし、一段低い評価に甘んじた。2000年代以降のラリーカーも発売しているが、当時の会社の不安定な経済状況を反映してか、往時の製品のような凝った精巧さは盛り込まれなかった。

しかし2010年頃に業績を一時持ち直して新規開発に挑み、2015年に発表したシトロエン・タイプHシトロエン・メアリルノー・4、ファーガソン農業用トラクターといった製品群は、市場の認識を刷新する精巧かつ現代的な出来ばえで評判となった。

オートバイ

1/8スケールで、ホンダCB750FOUR、カワサキ1000ゴディエ・ジュヌーなどを模型化している。エンジンの空冷フィンを~一枚1枚重ね合わせる~田宮もプロターも~当時は採用していなかった先進的な構成であった。1/12、1/24スケールでは2000年代のMotoGPのバイクを発売していた。

関連項目

外部リンク


エレール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/29 21:18 UTC 版)

四方世界の王」の記事における「エレール」の解説

シャムシ=アダド娘。神秘的な雰囲気醸し出す14歳少女だが、外見20代に見紛われることもあるほど大人びている。父に厳し罵り言葉発するが、その実互いに愛情満ちており、父のためなら破滅してもよいと思っている。たとえ禁忌であろうと父の子産みたいとさえ願う。“エレール”は純潔の意。シュメール時代失われたとされる飛翔による翼の動き占卜を行う占いの技術有する。神の小胞触れることができる。文字読めない父のために独学文字読めるようになった上の2人のあまりの無能さ呆れる。

※この「エレール」の解説は、「四方世界の王」の解説の一部です。
「エレール」を含む「四方世界の王」の記事については、「四方世界の王」の概要を参照ください。

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