インドの取り組みについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 22:57 UTC 版)
「不可触民」の記事における「インドの取り組みについて」の解説
カースト制の変容そして、インド憲法第341条により、大統領令で州もしくはその一部ごとに指定された諸カースト(不可触民)の総称として、スケジュールド・カースト(指定カースト)と呼称し、留保制度により、公共機関や施設が一定割合で、優先的雇用機会を与えられ、高等教育への入学枠や公務員の採用枠などを留保しておくというものである。公務員職の採用枠のうち教育機関への入学の優先枠が設けられたり、国営企業職員の優先就職枠、議会の議席、公務員と、1950年では約20%だったものが、93年には約49.5%にまで引き上げられた。優遇の対象外の人は、これは逆差別だと反対している。この留保制度の下で被差別民層から大学への進学者が徐々に増え、1990年代になると、自由経済体制への転換や文化面の開放政策も相まって留保制度の効果が顕在化し、指定カースト出身者の上級公務員、弁護士、医師、教師が増えていった。公務員2,000万人のうち300万人超を、指定カースト出身者が占めるようにもなった。このため、アウト・カースト=経済・社会的最下層階層という構図は当てはまらない。 だが一方で、インドのジャーナリズムの世界においてもバラモン出身の記者が影響力を持っていてダリト出身記者に対する差別があり、ダリト差別についての専門誌『ダリト・ダスタク』(ダスタクは扉を叩くノックの意)が創刊されるに至っている。 一方、不可触民のなかでも農村に定住しない遊牧民や、1952年以前に「犯罪部族法」に指定されていた「告知を解かれた部族(De-Notified Tribes; DNT)」と呼ばれるカーストなど、指定カーストの指定を受けられなかった最下層のカーストが2008年時点で1億1千万人存在する。これらの人々はいまだに貧困と潜在的犯罪者という偏見のなかで生活している。2004年にマンモハン・シン政権は社会正義・エンパワーメント省に「DNT・遊牧民・準遊牧民部族のための全国委員会」を設け、これらの人々の人権問題の改善を進めた。
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