インガーソル・ウォーターベリー成立と「ミッキーマウス・ウォッチ」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 14:57 UTC 版)
「タイメックス」の記事における「インガーソル・ウォーターベリー成立と「ミッキーマウス・ウォッチ」」の解説
インガーソルはウォーターベリー・クロックへの外注生産を脱するため、倒産した時計会社のトレントン・ウォッチ(Trenton Watch Company)を1908年に買収し「インガーソル・ウォッチ・カンパニー」としてアメリカ本国における時計の自社生産を開始した。続いて1914年には倒産したニューイングランド・ウォッチも買収、1916年には日産16,000個の時計生産能力を備え、懐中時計・腕時計を扱う、低価格時計メーカーとしての規模を拡大する。第一次世界大戦でのアメリカ軍用時計納入にも参加、この過程でラジウムを利用した夜光時計を発売している。 しかし相次ぐ拡大路線に相反し、第一次大戦後のインガーソルは経営難に陥り、1921年に自社も倒産してしまった。これを1922年に買収したのはインガーソルのもとの外注先でニューイングランド社のかつての母体であったウォーターベリー・クロックで、結局会社は「インガーソル・ウォーターベリー」として以後も「インガーソル」ブランドでの時計生産を続けた。 1930年にウォルト・ディズニーとライセンスを結び、1933年に世界初の「ミッキーマウス・ウォッチ」を発売。余剰軍用時計の放出品にミッキーマウスの文字盤を組み合わせた低コストなキャラクター・ビジネスが当たって大ヒットし、大不況下で苦しかった経営を立て直した(タイメックスの日本進出後、同様な日本国内の企画としてムーミンや、カリメロ、フランダースの犬といったキャラクター・アイテムが制作されたこともあり、日本国内のみで販売された)。子供向けアニメーション作品とのタイアップは、製品の性質が精密機械や宝飾品に近い高級時計メーカーでは考えられなかった着想で、大衆向けブランドのインガーソルだからこそ踏み切れたノベルティ的企画であったが、以後の様々なキャラクター・ビジネスにおける代表的な先駆例と言える。この初期のミッキーマウス・ウォッチのシリーズは、後年ではプレミアの付くコレクターズアイテムになっている。 1940年、第二次世界大戦によるドイツのノルウェー侵攻に伴い、ノルウェーの大手海運企業フレッド・オルセン社の社主トーマス・オルセンはアメリカに逃れた。オルセンは1941年にインガーソル・ウォーターベリーの経営権を獲得し、自身は会長職に就いたうえで、やはりノルウェーの政治家・実業家であったヨアキム・レームクール(Joakim Lehmkuhl)をインガーソルの社長職に就任させた。レームクールは1974年までインガーソルの経営トップを務めた。 アメリカの第二次世界大戦参戦後は、軍用時計生産のほか、他の時計メーカーと同様に精密加工技術を活かした兵器部品の生産にも携わった。1942年からは時限信管の製造を開始し、連合軍に対する主要供給者となっている。1944年に会社名はユナイテッド・ステーツ・タイム(United States Time Corporation, USタイム)となっている。
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