イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開の意味・解説 

イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 16:30 UTC 版)

イブン・アラビー」の記事における「イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開」の解説

直弟子であったクーナウィー(1207年 - 1274年)は、思索赴くまま叙述したイブン・アラビー作品整理し、それらに自ら注釈を施す等し体系化勤めた。クーナウィーは『叡智台座』の注釈施した他に、同じく同書注釈著したジャンディー(Mu'ayyid al-Dīn al-Jandī ? -1291年頃?)や、イブン・アラビー思想哲学的さらに深化させたティリムサーニー(‘Afīf al-Dīn al-Tilimsānī 1291年)、ペルシア語神秘主義詩人として有名なイラーキー(Fakhr al-Dīn Ibrahīm ‘Irāqī )ら後進達の育成行っている。なかでもイルハン朝ではクーナウィーとジャンディーから教え受けたスフラワルディー教団属すスーフィー思想家アブドゥッラッザーク・カーシャーニー(ʿAbd al-Razzāq al-Qāshānī :tr , ? - 1335年)は「存在一性論」の正しさ主張してアッラーフ至高性を強く主張しイブン・アラビー批判した同時代人のアラーウッダウラ・スィムナーニー(ʿAlā' al-Dawla Simnanī, 1336年没)と論争行っている。カーシャーニーはイラン以東でのイブン・アラビー思想の展開にも大きな足跡残しており、カーシャーニーの弟子ダーウード・カイサリー(Dāwūd al-Qayṣarī 1260年頃- 1351年)、カイサリーの弟子ルクヌッディーン・シーラーズィー(Rukn al-Dīn al-Shīrāzī, 1367年没)がいるが、3者とも『叡智台座』の注釈書著しており、カーシャーニーとカイサリーの注釈書地域問わず広く読まれた。シーラーズィー注釈書ペルシア語訳がされ、これがペルシア語訳『叡智台座』の注釈書としては最古のひとつとなっている。 ダマスクスイブン・アラビーやクーナウィーと親交持ったサアドゥッディーン・ハンムーヤという人物の弟子、アズィーズ・ナサフィーが『完全人間』(Kitāb al-insān al-kāmil)というペルシア語によるイブン・アラビー思想解説書著し、これがペルシア語文化圏におけるイブン・アラビー思想的影響大きく残した。やはり同じ『完全人間』という書名アラビア語による著書残したアブドゥルカリーム・ジーリー(ʿAbd al-Karīm al-Jīlī, 1326年 - 1424年)がおり、イェメンラスール朝治下のザービドで後半生過ごし、『マッカ啓示』の理解困難な箇所注釈を施す等をしている。15世紀にはティムール朝時代活躍したホラーサーン出身スーフィー詩人ジャーミーが、『叡智台座』やそれをイブン・アラビー本人要約した台座刻印』(Naqsh al-Fuṣūṣ)にそれぞれ注釈施している。ジャーミーいわゆる存在一性論学派なかでも最も有名な思想家ひとりである。 イラン中央アジアでのアラビー研究は主にペルシア語訳書注釈書を介して中国にも伝播し、漢文によるイスラーム思想著述がはじまる17世紀前後からイブン・アラビー存在一性論影響見られるうになる。『清眞大學』の著者王岱輿(1570年頃 - 1657年頃)や『歸眞總義』の張中( 1670年没)、アズィーズ・ナサフィーやジャーミー著作漢訳した舍起靈(1710年没)らがいる。 一方オスマン朝では創建当初からイブン・アラビー傾倒する思想家多くオスマン朝時代知識人思想家大半なんらかの形でその思想的影響化あると言われている。上述のダーウード・カイサリーがイズニク建てられ最初マドラサ初代学院長勤めその後も『マッカ啓示』やクーナウィーの著作等注釈ペルシア語オスマン語翻訳するウラマー陸続と現れオスマン朝最初シャイフル=イスラームとされているムッラー・ファナーリー(Mullā Shams al-Dīn Fanārī 1350年 - 1431年)も『マッカ啓示』やクーナウィーの著書『玄秘の鍵』(Miftāḥ al-Ghayb)の注釈書著し、さらに同書や『叡智台座』の釈講行っている。 エジプトでは、イブン・アラビー対す批判者多かったが、マムルーク朝時代中心に存在一性論学派」の学統隆盛した。

※この「イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開」の解説は、「イブン・アラビー」の解説の一部です。
「イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開」を含む「イブン・アラビー」の記事については、「イブン・アラビー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開」の関連用語

イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イブン・アラビー思想と「存在一性論学派」の展開のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのイブン・アラビー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS