アーサー王物語での活躍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/06 06:55 UTC 版)
「トリスタン」の記事における「アーサー王物語での活躍」の解説
マロリー版などでのトリスタン卿は、マーク王の確執からコーンウォールを出た後、円卓の騎士として数々の活躍をするエピソードが追加されている。ただし『トリスタンとイゾルデ』と『アーサー王物語』は、もともと別系統の物語なので、さまざまな整合性のとれない点が見られる。例えば、マルク王はコーンウォールの王という設定だが、『アーサー王物語』前半では、アーサー王の母であるイグレーヌの前夫、ゴルロイスがコーンウォール公として領地を支配していることになっている。一方のマルク王は、物語初期のブリテンの統一戦争、終幕のカムランの戦いなどに登場しないが、トリスタン卿にかかわる中盤のみに領主として登場する。 また、マロリー版では、トリスタン卿はイゾルデ一筋というわけではなく、イゾルデの登場前に、セグワリデス婦人と恋仲だったとするエピソードも挿入されている。さらに叔父のマルク王もセグワリデス婦人に懸想しており、この時からマルク王とトリスタン卿は対立関係にある。 武勇において、トリスタン卿は円卓最高の騎士であるランスロット卿とならぶ騎士であり、数々の武勲を残している。交友関係としては、ランスロット卿、ラモラック卿やディナダン卿らと仲がよい。また、イゾルデに恋心を抱くパロミデス卿と対立し、後には友人となるエピソードが比較的よく語られる。 ある槍試合で、「アーサー王の敵方について、優れた円卓の騎士を打ち負かす方が名誉が得られるだろう」というパロミデス卿の提案に乗り、変装したうえでパロミデス卿、ガレス卿、ディナダン卿の4人でガウェイン卿らを始めとする円卓の騎士の多くを打ち倒したりもしている。 マロリー版では、「白い手のイゾルデ」と結婚するものの、「金髪のイゾルデ」を愛し続け、ついには「金髪のイゾルデ」と駆け落ちする。グェネヴィア王妃との不倫関係にあったランスロット卿が、「喜びの城」を2人の住まいとして提供し、幸せな日々を送ることとなる。パロミデス卿をキリスト教に改宗させた後、トリスタン卿は物語に登場しなくなる。 その後、ランスロット卿らの口から世間話のひとつとして「マルク王と和解して、イゾルデは結局アイルランドへ返された。だが、マルク王はトリスタン卿を酷く恨み、イゾルデの前で竪琴を弾いているトリスタン卿の背後から心臓を一突きにして殺害した」と語られる。 また、マロリー版には登場しないが、イタリア・スペインの騎士物語では、トリスタン卿は「金髪のイゾルデ」との間に男女1人ずつの子供をもうけたとするものもある。なお、このトリスタン卿と同名の息子・トリスタン2世はコーンウォールの王となり、カスティリャ王の妹と結婚するなどのエピソードがある。
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