アメリカ社会への融合と人口動静
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:06 UTC 版)
「ユダヤ系アメリカ人」の記事における「アメリカ社会への融合と人口動静」の解説
ユダヤ人のアメリカ社会への融合は彼らの経済的、政治的、社会的な成功を生み出すことになったばかりでなく文化的影響も及ぼした。同時にアメリカ社会への政治的、宗教的融合を懸念する声も上がっており敬虔なユダヤ教徒やシオニストたちの一部はアメリカに完全融合するユダヤ人をみて反逆分子だと躍起する姿も見受けられる。 全てのユダヤ人がインターマリッジ(他宗教の者との結婚)に反対しているわけではないがユダヤ人コミュニティに属する多くの者が増え続けるインターマリッジによってユダヤのアイデンティティが薄れたり、ひいてはコミュニティそのものの規模が縮小することを懸念している。インターマリッジの比率は1950年の6%から2000年には40から50%と急激な増加を見せており、インターマリッジをした夫婦の約33%しかその子供をユダヤ教徒(もしくはユダヤ人のアイデンティティを持つ人間)に育てていない。この社会的流れとユダヤ人コミュニティの出生率の低下と相まって1990年代よりユダヤ系アメリカ人の人口は5%減少しており、全アメリカ人の平均年齢と比べるとユダヤ人コミュニティの平均は若干高い(年を取っている者が多い)。インターマリッジ夫婦でその子供をユダヤ人として育てている場合の多くはユダヤ人が密集する地域に生活している。例えばボストンにおいてはインターマリッジ夫婦の子供の約60%がユダヤ人として育てられており、数学上は50%を超えているのでユダヤ人は増加する計算になる。またインターマリッジの両親に育てられた子供が成人し、結婚する時に再びユダヤ人のヘリテージを強化させる場合もある。 これらの融合と相対し、正統派ユダヤ人のコミュニティは非常に高い出生率と低いインターマリッジの比率を保っており、コミュニティの規模が急速に拡大している。他の(主に世俗的な)ユダヤ人コミュニティの規模は縮小しているのにも関わらず、シナゴーグに通う正統派の比率は1971年の11%から2000年には21%を急増している。2000年には超正統派と呼ばれるユダヤ人のアメリカでの人口は約36万人を数え全ユダヤ系の7.2%を占め、2006年には約46万8千人に増え比率は9.4%になった。 ユダヤ系アメリカ人の約半数は自らは敬虔な教徒であると考えており、約283万1000人の敬虔な教徒のうち92%は白人系、5%はヒスパニック系、アジア系、黒人系、その他がそれぞれ1%ずついる。ヒスパニック系の多くはアルゼンチン、ベネズエラ、キューバなどの出身で彼らはスペインの統治時代に強制的にカトリックに改宗させられており、近年ユダヤ教へと復帰している。アジア系の多くはブハラ系とペルシア系である。世俗的なユダヤ人もアメリカには多くおり、その場合の白人系の比率は敬虔な教徒の場合に比べさらに高い。
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