アメリカ海軍の意識変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 13:51 UTC 版)
「海上自衛隊の航空母艦建造構想」の記事における「アメリカ海軍の意識変化」の解説
海上自衛隊では艦艇の建造を計画するに当たって必ずアメリカ海軍から意見を聞くことになっており、その過程でアメリカ側から注文を付けられることがあるという。 冷戦終結によってソビエト連邦という共通の敵が消滅したことによって、アメリカ海軍のパールハーバーの記憶を持つ世代は海上自衛隊の装備が不必要に強くなることを警戒しており、戦前の帝国海軍のように海上自衛隊が変貌しないように「芽のうちから摘んでおきたい」という思惑があったという。また、日本が空母を中核とした艦隊整備に動き出せば、中国や韓国との間に深刻な政治的問題を生み、地域の安全保障環境を不安定にさせる危険性があるとして、日本が空母をシーレーン防衛だけでなく、周辺国や小国に対する恫喝に利用するのではないかという懸念も出ていた。 つまり、今は軽空母であっても将来的にその後継艦ともなれば正規空母になる可能性があり、あくまで海上自衛隊を第7艦隊の補助部隊として運用したいアメリカ海軍としては気に入らなかったのである。 同様の理由でおおすみ型輸送艦建造の際も海上自衛隊はアメリカ側に対する説明に苦慮したという。 しかしながらアメリカ海軍は、海上自衛隊がひゅうが型護衛艦を導入するにあたっては、全く異論を挟んでいないという。理由としては緊迫の度合いを見せる近年の極東軍事情勢の変化と、パールハーバー世代からの世代交代により、極東地域に於ける安全保障任務に関して日本に負担を求める意見が主流になっていることが挙げられている。 1990年代までは、アメリカ海軍の空母に航空自衛隊の航空総隊や海上自衛隊の自衛艦隊の幹部が日帰りや1泊で乗艦することがあったが、その多くは艦内見学の範疇でしかなかった。しかし、2000年頃から状況が変化し、日米連携のためにアメリカ海軍の空母のCDC(戦闘指揮中枢)や司令部艦橋に海上自衛官が配置されるようになった。NATO諸国ではこのようなことはあるが、アジアの海軍でアメリカ海軍の空母のCDCに人員を送り込んでいるのは海上自衛隊だけだとされる。これにより海上自衛隊は、近代的な空母運用の現場を実地で学ぶことができたという。
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